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伊原春樹コラム

伊原春樹コラム「ヤクルト優勝の立役者・村上宗隆。ポストシーズンでチームを勝利に導く打撃ができるか」

 

ヤクルトのリーグ連覇に大きく貢献した村上[写真=桜井ひとし]


 誰もが認める優勝の立役者だ。9月25日のDeNA戦(神宮)にサヨナラ勝利し、2年連続優勝を果たしたヤクルト。球団では1992年、93年以来のリーグ連覇となったが、やはり四番・村上宗隆の働きが最も大きかったと言えよう。優勝を決めた時点で打率.322、55本塁打、132打点。打撃3部門でリーグトップに立っていた。

 優勝への貢献度の高さは数字が物語っている。殊勲安打は32本、殊勲本塁打は19本放ち、勝利打点は球団タイの19だという。打点も昨年は112だったから大幅増。チームの総得点は昨年より減少しているから、村上への依存度が大きくなったのは間違いない。

 本塁打も効果的だ。同点時は16本塁打、リード時は18本塁打だが、ビハインド時は21本塁打と一番多い。打線が抑えられていても村上の一発で反転攻勢をかけることが多かった。思い出されるのは5月14日の広島戦(マツダ広島)だろう。村上は1点ビハインドの6回に同点ソロ。さらに再び1点リードを許していた8回に2打席連続の同点ソロをバックスクリーンへ。この回、長岡秀樹の適時打で勝ち越したヤクルトは5対3で勝利を収めた。まさに自らのバットでチームを勝利に導いてきた。

 打つだけではない。村上は盗塁も12個をマーク。スキあらば走るという積極走塁を見せているのは相手にとって非常に嫌なことだろう。私も西武黄金時代に三塁コーチャーを務めていたとき、チーム全体に走塁への意識づけを行ってきた。その結果、日本シリーズで巨人に4連勝を果たし、黄金時代でも最強と言われた1990年には本塁打王のデストラーデが10盗塁を決めている。同年は清原和博も11盗塁をマークした。とにかく主軸が走る意欲が高いのは、チームにとって大きなプラスとなるのは間違いない。

 さらに数字だけではない。そのほかの部分でも村上はチームに貢献してきた。例えば自身が打てないときはベンチで積極的に声を出し、チームを盛り上げる。普通、四番と言えば「打てばいいんだろう」とばかりに、打撃以外の部分は疎かになってくる。しかし、村上は違う。守備の意識も高い。走塁やチームを鼓舞することとも率先して取り組む姿には頭が下がるばかりだ。

 ただ、村上は9月13日の巨人戦(神宮)で55号本塁打を打ったあとから10月3日の最終戦前までノーアーチと苦しんだ。これから始まるクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージを勝ち抜き、ヤクルトが日本シリーズで連覇を果たすためには、村上の復活が大きな条件となるのは確かだ。特に短期決戦では相手チームのマークも非常に厳しくなるだろう。昨年も村上は巨人とのCSファイナルステージでは3試合で打率.222、0本塁打、1打点、オリックスとの日本シリーズでは2本塁打を放ったが打率.217、3打点だった。ポストシーズンまでにどのように調子を上げ、どう打撃をアジャストさせていくのか、今から興味は尽きない。

PROFILE
伊原春樹/いはら・はるき●1949年1月18日生まれ。広島県出身。北川工高(現・府中東高)から芝浦工大を経て、71年ドラフト2位で西鉄入団。76年巨人に移籍し、78年古巣ライオンズに復帰して80年限りで現役引退。通算成績は450試合出場、打率.241、12本塁打、58打点。81〜99年に西武で守備走塁コーチを務め、西武黄金時代の名三塁コーチとして高い評価を受ける。2000年阪神コーチ、01年西武コーチから02〜03年西武監督、04年オリックス監督を歴任。07〜10年巨人ヘッドコーチを務め、14年は西武監督。現在は野球解説者として活躍している。
伊原春樹の野球の真髄

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座右の銘は野球道。野球評論家として存在感を放つ伊原春樹の連載コラム。

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