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伊原春樹コラム

伊原春樹コラム「拙走はチームの勢いを一気に止めてしまう。積極走塁も確率を上げなければまったく意味がないプレーに」

 

エスコンFで初の対外試合を行った日本ハム・新庄監督、西武・松井監督。両チームともスピードを武器としている[写真=榎本郁也]


 3月14日、北海道北広島市にできた新球場・エスコンフィールド北海道のこけら落としとなる日本ハム対西武が行われた。テレビ観戦した限りだが、客席も下から上へとなだらかで、ファンも非常に観戦しやすいのではないか。一塁側、三塁側の各スタンド上部に大型ビジョンも設置されており、迫力のある観戦体験ができそうだと感じた。

 さて、試合だが日本ハムと西武は両チームとも長距離砲が少ない。積極的に“足攻”を駆使していく攻撃スタイルを標榜しているが、この試合でもその意識が随所に見て取れた。まず2回表、西武の攻撃だ。先頭の鈴木将平が三塁悪送球で出塁すると、続く山村崇嘉の左前打で無死一、三塁。ここで蛭間拓哉が空振り三振に倒れるも、一走・山村がスタート。投球を受けた捕手の清水憂心は三走を目で抑えることなく、二塁へ送球。スタートを切った三走・鈴木は悠々と本塁を陥れた。

 今度は日本ハムの番だ。3回裏、先頭の石井一成が二塁打で出塁すると、続く五十幡亮汰が三塁線にセーフティーバントを試みるも一塁アウトで結果的に犠打に。江越大賀は四球で一死一、三塁となった。2球目に一走・江越が二塁へスタート。捕手からの送球を遊撃手・山野辺翔が捕球できず、この間に三走・石井がホームに生還したが、おそらくダブルスチールの意識があったのだろう。石井はしっかり準備をして、いいスタートを切っていた。

 5回表には西武先頭の西川愛也が右前打で出塁。児玉亮涼は遊ゴロとなったが、ヒットエンドランがかかっており、一死二塁に。二死後、陽川尚将が三遊間を破る。左翼手の松本剛が打球を後逸したこともあり、二走の西川が一気にホームを突いた。

 足が絡んだ得点が多かったこの試合、3対1とロースコアで西武が勝利した。シーズンを通して両軍、このような戦いになっていくのは間違いない。もちろん、相手の隙を突く走塁で局面を打開していく攻撃は大きな武器となる。しかし、それも闇雲に走るだけでは意味がない。

 この試合、日本ハムと西武にそれぞれ2個ずつ盗塁死があった。日本ハムには清宮幸太郎のけん制死も1個記録された。走塁ミスが多かったのだ。計4個の盗塁失敗に関して言うと、明らかなアウトだった。盗塁を試みて、アウトか、セーフか、審判の手に球場の視線がすべて注がれて、それでアウトならまだ許せる。だが、そうではなくて簡単にアウトになっている盗塁を見ると、しっかりと準備をしているのか疑わしくなる。

 サインが出たから走る。それだけでは話にならない。バッテリーのクセを見て、「行ける」と確信したときにスタートを切る。特に僅差のときの好走塁というのは成功すれば球場が沸き、チームも盛り上がり、勢いを与えてくれる。しかし、拙走は逆に一気に流れを止めてしまう。言うまでもないが、走塁は非常に重要なプレーになるのだ。

 積極的な走塁と言うと聞こえはいいが、そのためには走塁技術を上げないと致命的なミスとなってしまう危険性をはらんでいる。もちろん、まだ本番ではなく、オープン戦だ。いろいろと試している部分もあるかもしれないが、今から実戦でしっかり成功させておかなければ、走塁を武器にするというのも絵に描いた餅で終わってしまう。

 シーズンに向けて、課題は改善して、素晴らしい走塁を多く見せてくれることを両チームには期待したい。

PROFILE
伊原春樹/いはら・はるき●1949年1月18日生まれ。広島県出身。北川工高(現・府中東高)から芝浦工大を経て、71年ドラフト2位で西鉄入団。76年巨人に移籍し、78年古巣ライオンズに復帰して80年限りで現役引退。通算成績は450試合出場、打率.241、12本塁打、58打点。81〜99年に西武で守備走塁コーチを務め、西武黄金時代の名三塁コーチとして高い評価を受ける。2000年阪神コーチ、01年西武コーチから02〜03年西武監督、04年オリックス監督を歴任。07〜10年巨人ヘッドコーチを務め、14年は西武監督。現在は野球解説者として活躍している。
伊原春樹の野球の真髄

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座右の銘は野球道。野球評論家として存在感を放つ伊原春樹の連載コラム。

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