
6月2日の巨人戦[東京ドーム]で7号2ランを含む3安打3打点でヒーローに選ばれたマルティネス。日本ハムは交流戦で上昇気流に乗れるか[写真=川口洋邦]
プロ野球も交流戦に突入し、どのチームもほぼ50試合を消化している。ペナントレースの1/3以上を終え、首位に立つチームはこのまま加速していくのか、中位につけるチームは上位を追走するのか。はたまた、下位にいるチームは踏ん張ることができるのか。他リーグとの戦いである交流戦がそのカギを握るのはもちろんだが、とにかく上昇気流に乗るためにはつまらないミスをなくすことが一番重要だと思う。
例えば二死から四球を与えたり、無死から先頭打者の内野ゴロをエラーして出塁を許したり。はたまた、ランナーを二塁に進めたい場面で犠打や進塁打を失敗することも同様だろう。
「当たり前のことを当たり前にやれば、当たり前のことが当たり前にできる」は私が指導者のときに選手に徹底してきたことだが、その“当たり前”は案外難しいものだ。だが、それをやり切らなければ栄冠に近づくことはできない。
交流戦では日本ハムが2カードを消化した時点で4勝2敗と好スタートを切った。交流戦に突入する直前、5月は28日までに12勝11敗と徐々にチーム力は整っていた形だ。しかし、若いチームだけにミスをすれば負けるということが顕著に表れていた。例えば16日の
西武戦(エスコンF)では9回二死から守護神の
田中正義が
長谷川信哉に同点アーチを被弾。2対2で迎えた12回には無死一塁で犠打を捕球した投手の
杉浦稔大が二塁へ悪送球。さらにカバーに入った中堅の
江越大賀が
トンネルしてしまう。ダブルエラーでボールが転々とする間に勝ち越しのランナー生還を許してしまった。これは典型的な例だが、日本ハムが浮上するために“つまらないミス”を極力少なくすることが重要になるだろう。
野球のレベルが変わっても、その真理は変わらない。私は現在、茨城トヨペット硬式野球部でアドバイザーを務めているが、都市対抗野球北関東大会2次予選でもそれを実感した。北関東では日立製作所、日本製鐵鹿島、SUBARU、エイジェックが4強を占め、茨城トヨペットはその下のグループに位置する。1回戦、格上のSUBARUと対戦したが、斎藤元輝という選手に2本塁打が飛び出して6対5の接戦を制した。
意気が上がったチームは続く準決勝で昨年第2代表の日本製鐵鹿島と対戦。しかし、ミスから崩れる。3回、二死二塁から相手打者に左前打を放たれ、左翼手は本塁へナイス返球。三塁を蹴った走者を確実にアウトにできるタイミングだったが、捕手が後逸して先制点を奪われてしまった。4回には二死から遊撃手が失策。ここから3連打を浴びて2点を追加される。9回にも2点を失い、打線は相手先発を攻略することができず完封負け。0対5で敗れてしまったが、ミスにより序盤に失点を許してしまったことがすべてだった。
プロと社会人ではレベルが違うが、同じ野球であることは間違いない。ミスが大きく試合の行方を左右することは確かなのだ。ミスを恐れてもいけないが、ミスをしていいわけではない。それだけは肝に銘じてもらいたいところだ。
PROFILE 伊原春樹/いはら・はるき●1949年1月18日生まれ。
広島県出身。北川工高(現・府中東高)から芝浦工大を経て、71年ドラフト2位で西鉄入団。76年巨人に移籍し、78年古巣ライオンズに復帰して80年限りで現役引退。通算成績は450試合出場、打率.241、12本塁打、58打点。81〜99年に西武で守備走塁コーチを務め、西武黄金時代の名三塁コーチとして高い評価を受ける。2000年
阪神コーチ、01年西武コーチから02〜03年西武監督、04年
オリックス監督を歴任。07〜10年巨人ヘッドコーチを務め、14年は西武監督。現在は野球解説者として活躍している。