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伊原春樹コラム

伊原春樹コラム「3位から日本一に駆け上がったDeNAにあった一体感。“短距離走”での見事な戦い。CSの是非を問う道理はない」

 

日本一になったDeNA。見事な戦いぶりを見せた[写真=兼村竜介]


 あらためて短期決戦で“勢い”が大きなウエートを占めることを実感した。日本シリーズでDeNAがソフトバンクを4勝2敗で下して頂点へ駆け上がった。シリーズ前、私の予想は4勝3敗でDeNAの日本一だった。根拠はクライマックスシリーズ(CS)の戦いぶりだ。ファーストステージで阪神を2連勝で蹴散らすと、ファイナルステージでも巨人に3連勝。その後、連敗して3勝3敗(巨人に1勝のアドバンテージを含む)となったが、第6戦を3対2と勝ち切って日本シリーズ進出を決めた。

 感じられたのはチームの一体感。もちろん、戦力層も大事だが、短期決戦では全員が束になって相手に襲い掛かる一体感が重要になる。それがソフトバンクより上回っているように見受けられたのだ。

 だから、シリーズで第1、2戦に敗れても逆襲のチャンスはあり、と見ていた。そして第3戦でエース・東克樹の力投が大きかった。CSファーストステージで左太ももの肉離れを起こしてファイナルステージで登板できなかった左腕。日本シリーズに間に合うか微妙な状況だったが、マウンドに戻ってきた。東は初回に1点を失ったが、その後は10安打を浴びながらも得点を許さず。7回を投げ切り1失点でチームにシリーズ初勝利を呼び込んだ。第4、5戦ではアンソニー・ケイアンドレ・ジャクソンが好投。完全に東の投球がチームに勢いを与えたと言える。

 一方、ソフトバンクの小久保裕紀監督のさい配には隙があったように思う。第4戦では九番・左翼で笹川吉康をスタメンに抜てき。素質はあるが、公式戦では今季、7試合のみの出場だ。1安打1盗塁で第5戦でも一番で使ったが、正木智也柳町達の出場機会が限られてしまった。正木、柳町は公式戦で仕事を果たした選手たちだ。口には出さないまでも「なんで試合に出られないんだ」という思いが渦巻いていただろう。そうなると、チームに一体感は生まれにくくなってしまう。継投でもちぐはぐした感は否めなかった。

 DeNAは3位からCS、日本シリーズを勝ち抜いて日本一となった。公式戦では71勝69敗3分けだったが、貯金2、勝率.507で日本一になったのは史上最も低い記録だという。この結果に対してCSの是非を問う声も挙がるが、私は“これはこれ、それはそれ”という考えだ。CSがあるおかげで消化試合がなくなり、最後までペナントレースは盛り上がる。ファンにも受け入れられ、CSを廃止する道理はない。

 ペナントレースという“長距離走”を1位で走り抜けた巨人は胸を張っていいし、CSという“短距離走”を勝ち抜いたDeNAも素晴らしい。そもそも本当に強いチームは“長距離走”も“短距離走”も制する力を持っているはずだ。とにかく、DeNAの日本一を素直に称えたい。

PROFILE
伊原春樹/いはら・はるき●1949年1月18日生まれ。広島県出身。北川工高(現・府中東高)から芝浦工大を経て、71年ドラフト2位で西鉄入団。76年巨人に移籍し、78年古巣ライオンズに復帰して80年限りで現役引退。通算成績は450試合出場、打率.241、12本塁打、58打点。81〜99年に西武で守備走塁コーチを務め、西武黄金時代の名三塁コーチとして高い評価を受ける。2000年阪神コーチ、01年西武コーチから02〜03年西武監督、04年オリックス監督を歴任。07〜10年巨人ヘッドコーチを務め、14年は西武監督。現在は野球解説者として活躍している。
伊原春樹の野球の真髄

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座右の銘は野球道。野球評論家として存在感を放つ伊原春樹の連載コラム。

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