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伊原春樹コラム

伊原春樹コラム「主力4選手がポスティング制度でメジャーを目指す 痛過ぎる大黒柱が抜ける穴 より一層問われる『育成力』」

 

ポスティング制度によりメジャー移籍を目指す岡本和[写真=井田新輔]


 時がたつのは早いもので、間もなく師走を迎えようとしている。球界では12球団の戦力整備が進む。2026年シーズンに向けて今年の戦いぶりを反省しながら、来年ペナントを勝ち抜くために弱点を埋めていく作業。秋季キャンプで現有戦力の底上げを図ったのはもちろん、ドラフト、トレード、新外国人獲得、現役ドラフト、FAなど戦力を整えるためにはさまざまな手段がある。

 しかし、それだけでは補えないチームもあるだろう。今年は巨人岡本和真ヤクルト村上宗隆西武高橋光成今井達也がポスティング制度を利用してメジャー・リーグへの移籍を目論んでいる。正式にメジャー移籍が決まれば主力中の主力だけに、この3球団にとって大きな戦力低下となるのは間違いない。

 今年は岡本和、村上ともにケガによって満足に働けないシーズンだった。岡本和は69試合、村上は56試合の出場に終わったが、それでもそれぞれ15本塁打、22本塁打をマーク。143試合に換算すれば岡本和は31本塁打、村上は56本塁打を放つ計算になる。代えの利かない存在で巨人は昨年の優勝から貯金がわずか1の3位、ヤクルトは借金22の最下位に沈んだことから2人の存在の大きさが見て取れるだろう。

 高橋、今井も今年は開幕から先発として稼働。2人で計18勝をマークし、311回2/3を投げていたが、この穴はそう簡単には埋まらない。西武は昨年の借金42の断トツ最下位から今年は借金14の5位とチーム状況が多少改善したが、主力先発が2人抜けるであろう来年は再び苦しい戦いを強いられることが予想される。

 大黒柱がチームから去る影響の大きさは過去を振り返っても分かる。例えば2002年、原辰徳監督が率いる巨人は2位に11ゲーム差をつけるリーグ優勝。日本シリーズでも西武に4連勝を果たして2年ぶりの日本一に輝いた。四番として50本塁打を放った松井秀喜が原動力だったがオフにFA権を行使してヤンキースへ。翌年の巨人は首位・阪神と15.5ゲーム差の3位と順位を落とした。

 13年には星野仙一監督が陣頭指揮を執る楽天が球団創設初の日本一。頂点へ駆け上がる大きな力となったのはエースの田中将大だった。シーズン成績は驚異の24勝0敗。最多勝、最優秀防御率、最高勝率を獲得し、文句なしでMVP、沢村賞を手に入れた。だが、オフにポスティング制度を利用し、ヤンキースに移籍。楽天は翌年、借金16の最下位に沈んだ。

 現在の超一流選手はほとんどがポスティング制度により、若い年齢でメジャーを目指す。だから、FA戦線で名が挙がることがない。今年は中日松葉貴大、楽天の則本昂大DeNA伊藤光桑原将志が海外FA権、ソフトバンク東浜巨、楽天の辰己涼介日本ハム石井一成松本剛が国内FA権を行使したが、年俸ランクが「A」なのは則本だけと見られている。そのほかは「B」と「C」だ。

 FAで主力の穴埋めを図るのも難しい状況だ。例えば昔は3割30本塁打を放つ若手がレギュラーをつかめば、そのポジションは10年安泰だと言われたが、今はメジャー移籍の可能性があるから、5年後を見据えながらチームづくりを行う必要がある。安定したチーム成績を残すためには、より一層「育成力」が問われることになるだろう。

PROFILE
伊原春樹/いはら・はるき●1949年1月18日生まれ。広島県出身。北川工高(現・府中東高)から芝浦工大を経て、71年ドラフト2位で西鉄入団。76年巨人に移籍し、78年古巣ライオンズに復帰して80年限りで現役引退。通算成績は450試合出場、打率.241、12本塁打、58打点。81〜99年に西武で守備走塁コーチを務め、西武黄金時代の名三塁コーチとして高い評価を受ける。2000年阪神コーチ、01年西武コーチから02〜03年西武監督、04年オリックス監督を歴任。07〜10年巨人ヘッドコーチを務め、14年は西武監督。現在は野球解説者として活躍している。
伊原春樹の野球の真髄

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座右の銘は野球道。野球評論家として存在感を放つ伊原春樹の連載コラム。

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