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サヨナラ振り逃げの謎

 

 もの珍しいものを目撃した。

 5月6日、ソフトバンク日本ハム(ヤフオクドーム)であった、サヨナラ振り逃げである。これは1994年6月12日に行われたオリックスロッテで見られて以来、実に20年ぶりの出来事だったとのこと。

 前回は同点の10回裏、二死満塁で打者はイチロー(現ヤンキース)。ロッテ・成本の低めのフォークで空振り三振を喫したが、捕手・定詰がボールを後逸する間に一塁に到達し、三塁走者も生還。まさにサヨナラ振り逃げだった。

 しかし、今回は状況が少し違う。同点の9回裏一死二、三塁、打者はソフトバンク・松田。カウント1−2からのフォークを空振りしたが、捕手・大野がボールを後逸した。代走で出場し、三塁にいた明石はこれを見て生還。しかし、松田はバッターボックス付近から動かず、一塁には達していなかった。それでも当日配られた公式記録には振り逃げが記録され、松田はアウトにカウントされていなかった。

 三振によるアウトは「第三ストライクと宣告された投球を捕手が正規に捕球した場合」に成立し、ワンバウンドしたり、捕球し損ねた場合は打者が一塁に到達する前に、打者走者にタッチするか、一塁ベースへ転送する必要がある。

 今回の場合、松田は一塁へ進む行為を取らなかった一方で、日本ハム側も松田をアウトにしようとする行為を見せなかった。その上で第二アウト成立前に三塁走者が生還しサヨナラが確定したために、記録上、「振り逃げ」とした模様だ。
 
 ちなみにこれが二死であれば、第三アウトより早く三塁走者が生還しようとも、松田が一塁到達より前にアウトにされれば、サヨナラとはならない。
 
 三振の瞬間を「頭の中が真っ黒になった」と言い、サヨナラの瞬間を「今度は真っ白になった」と打席近くで迎えた松田に後日、二死だったらどうしたかを聞いた。

「ツーアウトだったら、(一塁に)走りますよ」

 少し強い口調で返された。当然ですよね。(菊池)
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週刊ベースボール編集部による日替わりコラム。取材のこぼれ話も。

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