注目の新会社の誕生だ。
日本野球機構(NPB)と12球団が、共同出資(12球団が各500万円、NPBが3000万円の資本金9000万円)で「侍ジャパン(野球日本代表)」事業を推進する、「株式会社NPBエンタープライズ」を11月7日に発足する。
これまで「侍ジャパン」は、チームでの活動を含めて継続性に欠け、世間一般の認知度もイマイチ。これまでの一般社団法人であるNPBの一部署では、意思決定のスピードに欠けることもあり、それらの課題を解消するため、中長期的な戦略のもとで侍ジャパン事業を一元化させるのが狙いだという。
2017年のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)までに、興行や放映権料などで約40億円の収入を目標に掲げ、その収益はアマチュアを中心とした野球振興と底辺拡大に使われるようだが、課題は山積みのように思う。
新会社の大きな柱である、プロが中心となる侍ジャパントップチームに目を向けると、そもそも代表チームが常設化されているのは、ここ日本だけ。11月12日からは日米野球が開催されるが、その前後の壮行試合、親善試合を含めても今年は7試合のみ活動にとどまっている。
日米野球後の活動は未定で、利益確保のためには、他国の野球連盟、とくにMLBにも働きかけ、かつ、試合を企画し、運営していく能力が、新会社には求められている。
また、仮に、定期的に試合を組めたとしても、かつて選手の招集を渋った球団があったように、12球団の足並みがそろわなければ意味がない。熊崎勝彦初代社長(NPBコミッショナー)は、実は近いうちに発表される新社長(まだ決まっていない)就任までの「つなぎ」というのも発覚し、拍子抜け感は否めないのだが、新社長には何よりも強いリーダーシップを持った人物を期待したい。(坂本)