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本誌編集長コラム

捕手失格から2000安打へ

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「別の道で喜びを味わいたいという気持ちもありますからね」。愛着ある捕手から外野手にコンバートされ、バット1本で勝負する日々が始まった2002年、当時西武に所属していた和田一浩中日)の潜在能力が開花した。いきなり打率.319、33本塁打、81打点と素晴らしい成績を残し、翌年も.346、30本塁打、84打点と輝きは増した。そのころ、冒頭の言葉を聞いたのだが、これは打者の勲章である首位打者を獲得したいということだった。その夢は05年位達成される。打率.322をマークして頂点に立ち、最多安打のタイトルも奪取。パ・リーグで右打者が首位打者を奪取したのは、93年の辻発彦(西武)以来の快挙だった。

「捕手で一流になれなかった」という悔恨が心の底にあり、その分、「打撃を極めたい」という強い決意があった和田。08年、36歳になるシーズンに中日へFA移籍したが打撃は衰えることを知らなかった。昨年、残り15本のところでケガにより離脱したが、ついに今年、6月11日のロッテ戦(QVCマリン)で2000安打達成。西武時代、伊東勤(現ロッテ監督)と自主トレを行い、「妥協しないこと」を学んだ師の前で到達した打者の金字塔。心から「おめでとう」という言葉をかけたい。

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野球の風

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週刊ベースボール編集長の編集後記。球界の動きや選手に対して編集長が思いをつづる。

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