
南海での現役時代の筆者。努力なしに運は巡ってこないと考え、野球に打ち込んだ/写真=BBM
よく食べ、よく寝て夏バテせず稼ぐ
私は暑いのが苦手だ。
今でこそどこへ行っても冷房が効いているが、私たちのころはせいぜい扇風機で、生ぬるい風をかき回すだけ。冬は寒ければ重ね着をすれば済む。しかし、夏は脱いでも、脱いでも、暑い。現役時代は夏がイヤで仕方なかった。
とはいえ、選手としては夏場に働いて稼がないと――夏に強くなければ成績は上がらないし、タイトルも手にすることができない。ピッチャーも、バッターも、総じて皆がへばってくる時期。それは言い替えれば、稼ぎ時なのだ。一緒にへばってはいられない。だから、夏はいつも以上に頑張った。
当時の宿舎は今のようなホテルではなく皆、旅館である。特に博多の旅館は、いつも暑くて寝られなかった。当然、窓は全開。風を入れ、時には布団から転げ出て板の間に直接寝ることもあった。それでも寝苦しいときは、カップルで泊まるようなホテルに一人で出かけて泊まったものだ。初めは「一人でも入れてもらえるのかな?」「怪しいヤツだと思われてないかな?」と心配したが、杞憂だった。
なんとか少しでも快適に寝る方法を、と思いながら、まだ給料の安かった時分。一流ホテルは、値段が高くて泊まれない。窮余の策である。ファンにでも見つかった日には、「野村は何をやっているんだ」と・・・
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