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野村克也の本格野球論

野村克也が語る「DH制導入の是非」

 

原監督はセのDH制導入を訴えたが……/写真=高塩隆


セや巨人が弱いのにDH制は関係ない


 日本シリーズ終了後、巨人原辰徳監督が「セ・リーグもDH制を使うべき。(パ・リーグに)相当、差をつけられている感じがある」「(DH制を使えば)投手は投手に専念できる」と、マスコミに語ったという。

 まあ、巨人の4連敗にDH制は関係ないと思うのだが。それはさておきDH制について、あらためて私の考えを述べておきたい。私はDH制導入時から、この制度には反対派の立場を貫いている。

 パ・リーグがDH制を敷いたのは、私が南海で兼任監督を務めていた1975年。メジャー・リーグではそれより2年前の73年、ア・リーグで採用されている。「攻撃型のチームを作る」とか「人気回復につなげる」とか何かと理由はつけていたが、要はアメリカのマネなのだ。

 そもそも野球は、9人で1つのチームを構成して戦うスポーツ。その大前提を破ることからして、おかしい。パ・リーグで採用されたとき、私も「それはルール違反だろう」と意義を唱えた。代打専門で生きている選手もいる。その選手の職場を、勝手なルールで奪うのはよくないと考えたためだ。

 野球は9人でやるからこそ、どこでピッチャーに代打を出し、誰をどう交代させるかなど、監督の手腕が問われるのだ。DHはその、采配の妙も消してしまう。ファンはもちろん、監督自身もつまらないだろう。9人制のほうが、監督の力量の差がより明らかになるのだから。

 DH制を導入し、確かにパ・リーグの野球は変わった。よく言えば豪快、しかし実のところ、セ・リーグに・・・

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勝負と人間洞察に長けた名将・野村克也の連載コラム。独自の視点から球界への提言を語る。

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