週刊ベースボールONLINE

 

取材・構成=新ヶ江周二郎 写真=湯浅芳昭、BBM

16年ぶりのAクラス進出を果たした赤ヘル軍団を文字どおりけん引した。どん欲に次の塁を狙う走塁で29盗塁をマークして盗塁王を獲得すると、外野守備ではゴールデングラブを獲得。今秋には日本代表入りも経験し、いまやチームに欠かせない存在となった若鯉だ。多くの勲章を手にしたシーズンを終え、その胸中には2つの思いが残っている。

取材・構成=新ヶ江周二郎 写真=湯浅芳昭、BBM
※このページの最後に丸佳浩選手直筆サイン入りBBMカードプレゼント応募についてお知らせがございます

「技術」ではなく「知識」が増えた

――─自身初の開幕スタメンで始まった2013年シーズン。オールスター出場、球団史上初のクライマックスシリーズ(CS)を経験し、盗塁王とゴールデングラブを獲得。そして日本代表選出と、“初“尽くしの1年が終わろうとしています。疲れはないですか?

丸 特にないですね、まだ若いので(笑)。いつもどおりシーズンを終えた感じの疲れです。タイトルを取れたことは素直にうれしくて、心の中に充実感はありますけど、悔しい気持ちも強いです。


▲5月12日の中日戦(マツダ広島)では、プロ初の代打満塁本塁打。シーズンでは随所に勝負強さを発揮した



――充実したシーズンを振り返って、まず頭に思い浮かぶ場面はどこでしょう?

丸 ポンと出てくるのは開幕戦(3月29日、対巨人/東京ドーム)ですかね。今年は新井さん(宏昌、一軍打撃コーチ)がカープへ来て、僕自身、キャンプから新しい打撃フォームに取り組んできて、練習やオープン戦では成果として表れていたんですが、それが公式戦になってどうなるか不安だったので。開幕戦で結果(二番・中堅で出場して、4打数2安打1打点)が出て、シーズンにうまく入っていけたことは良かったと思います。

――4月を終えて、打率.320と好調を維持し、盗塁数は6月を終えて23盗塁。しかし、7月以降は6盗塁にとどまりました。相手バッテリーからの警戒が強くなったことが理由でしょうか。

丸 相手はそこまで関係ないです。単純に打てなくて塁に出られなかったこともそうですし、クリーンアップを打つようになって多少“しばり”もあった。あとは、7月にキラが入り、彼の調子が良かったのでじっくり打たせようというチームの方針もありましたから。まあ、チームが勝つことがすべてなので、盗塁の数は特に意識はしませんでしたね。

――軍に定着した11年シーズンから、盗塁数は「9」→「14」→「29」と増加しています。盗塁数増加の要因は?

丸 これまでは自分の中で「絶対」じゃないときには行きませんでした。というより、�犢圓韻覆�った�瓩里�もしれません。それがチームの方針として、「まずは行ってみて、『これはダメ』、『これは行けるんだ』と覚えていこう」と。やっぱり、琢朗さん(石井、一軍内野守備・走塁コーチ)がコーチになって、いろいろと教えていただいたことが大きいですね。盗塁もそうですけど、走塁全体での考え方が変わりました。「これ、行けるかな」と思ったときに、足が先に出るかどうか。そこで自然に体が動くようになった。だから、技術うんぬんが向上したとかではなく、考え方、知識が増えた感じですね。

─一塁コーチャースボックスに立つ石井琢コーチは、出塁した選手にこまめに声をかけていますね。

丸 出塁したときだけじゃなく、試合前、試合後にもいろいろな話をします。「あの投手はこういうクセがあるから」とか。─「足にスランプはない」と言われていますが、それを実感した時期などは。


――「足にスランプはない」と言われていますが、それを実感した時期などは。

丸 塁に出さえすれば、という意味ではそうかもしれませんね。でも、見ている人からすれば「走る=盗塁」なのかもしれませんが、僕は「走る=走塁」という考え方なので。チーム全体の課題でもあったし、全員が次の塁を狙う意識が高くなってきたので、刺激になりました。

――丸選手が盗塁の際に最も気を付けている点は何ですか。

丸 やっぱりスタートですね。タイミングもそうですが、一歩目から二歩目まで。そこが決まらないと中間走も伸びてこないし、スライディングも弱くなる。スタートで体を浮かせずにうまく地面を蹴れれば、スピードに乗っていけます。

――今季マークした29盗塁の中で、「会心の盗塁」があれば教えてください。

丸 会心ですか……、(廣瀬)純さんが出塁の日本記録をつくった試合(4月26日、対中日/マツダ広島)かな。4回に、純さんの第2打席で、4回連続ぐらいでスタートを切りました。盗塁のサインは出ていなくて、記録のことも知っていましたけど、僕が行けると思ったので何回も走って(笑)。しんどかったですけど、体のキレが増してくるというか、走るたびに良くなっていく感じ。その感覚はあのときだけでしたね。

――マウンドにいた中日・大野雄大投手は左投手ですが、「左投手はスタートが切りにくい」ということは?

丸 ないですね。逆に左投手の方が分かりやすいし、雰囲気を感じ取りやすいです。右投手はターンしてけん制をするので、送球も速いですし。でも、まあ「盗塁」より「走塁」を見てもらいたいです。



――その走塁面では、今季一、二番でコンビを組むことが多かった菊池涼介選手と、相手チームに脅威を与えていました。

丸 いやー、ヤツはすごいですね。例えば、ちょっと送球が逸れたりしたとき、僕だったら躊躇してしまうような場面でも、キクはパッと次の足が出て走り出しているんですよ。あの反応はマネできません。いつも試合前に「2人でかき回そうぜ」と話していましたし、かなり波長は合います。この前の日本代表の台湾遠征でも、一緒に早起きして台湾の街を探検していました(笑)。

初の侍ジャパンで同世代から刺激

――今秋は小久保裕紀新監督が率いた新生侍ジャパンに選出されました。丸選手は今回の台湾遠征が人生初の海外旅行だったそうですね。

丸 そうなんですよ。短い期間でしたが、「外国」に行ってきました。でもアジアだったので、まあそこまで驚きはありませんでしたね。

――今回の代表では、チームメートの菊池選手、野村祐輔投手を含め、同級生が9人いました。刺激になったのでは?

丸 同世代の選手が多かったことは、何より心強かったです。年齢の壁もなく、気兼ねなくいろいろなことを話せますし。翔(中田、日本ハム)と行動することが多かったんですが、食事へ行っても気付いたら野球の話をしていたり。結果(6打数1安打1四球)としてはあまり良くなかったんですが、練習のときも岡島(豪郎、楽天)や中村(晃、ソフトバンク)の話を聞いて、「ああ、こういう考え方もあるんだ」という発見が多かったですね。もちろん、人それぞれ打撃へのアプローチは違うので、それをどう自分に生かしていけるかが大事で。いまはゆっくり休んで、自主トレ、来春のキャンプから少しずつ試していきたいと思っています。

▲中堅、右翼を守った外野守備。俊足を生かした広い守備範囲を誇り、球際の強さも見せた



――盗塁王、ゴールデングラブを獲得した今シーズンですが、やはり打撃面をもっと上げていきたい気持ちが強い。

丸 攻撃だけじゃないですけどね。すべての面でレベルアップしないといけない。カープの外野でゴールデングラブは、(10年の)純さん以来ですか。それはすごくうれしいんですけど、もっとやれたんじゃないかという思いの方が強い。球際、ポジショニング、送球、すべての面でまだまだです。打撃も……全然満足できなかったので。

――盗塁王、ゴールデングラブを獲得した今シーズンですが、やはり打撃面をもっと上げていきたい気持ちが強い。

丸 攻撃だけじゃないですけどね。すべての面でレベルアップしないといけない。カープの外野でゴールデングラブは、(10年の)純さん以来ですか。それはすごくうれしいんですけど、もっとやれたんじゃないかという思いの方が強い。球際、ポジショニング、送球、すべての面でまだまだです。打撃も……全然満足できなかったので。

▲今秋の侍ジャパン・台湾遠征で、日本代表初選出(中央)。同世代のトップ選手とのプレーに大きな刺激を受けた



――冒頭の「悔しい気持ち」とはそこですね。具体的にはどのような部分が。

丸 同じスイングを一年間続けることの難しさですね。同じスイングを、同じ精神状態で。自分のスタイルとして、「打つべき球をしっかり打ちましょう、捨てるべき球は捨てましょう」と考えているんですが、良いときは素直にバットを出せていた。悪いときは無理なスイングになって、打たなくてもいい球を打ってしまう。シーズンを通して調子を維持することの難しさをあらためて知りました。

――今季放った138安打の内訳は、左翼方向=47、中堅方向=36、右翼方向=55となっています。各方向へまんべんなくヒットを打てていることが「素直に打てた」ことを証明していますね。

丸 はい。秋季キャンプでも、「ここを変えよう」とは思わず、「今季やってきたことを固めよう」と意識してバットを振りました。いまやっていることが間違っていないと思うし、少なからず手応えはあるんです。まあ、打撃にゴールはないんですけど。ゴールは引退するときなので。

――今季放った138安打の内訳は、左翼方向=47、中堅方向=36、右翼方向=55となっています。各方向へまんべんなくヒットを打てていることが「素直に打てた」ことを証明していますね。

丸 秋季キャンプでも、「ここを変えよう」とは思わず、「今季やってきたことを固めよう」と意識してバットを振りました。いまやっていることが間違っていないと思うし、少なからず手応えはあるんです。まあ、打撃にゴールはないんですけど。ゴールは引退するときなので。

――さらにレベルアップした姿に期待しい来季から、緒方孝市一軍野手総合コーチが現役時代に着けた「9番」を背負います。日本代表でひと足早く着けていましたが、自ら希望したと聞きました。

丸 そうですね。シーズンが終わったときに、球団から「着けたい背番号はあるか?」と聞かれたので、「9番でお願いします」と伝えました。名誉ある背番号だと思うので、それに恥じないプレーをしたいですね。

――背番号変更が発表された際、「自分の色に染めたい」とおっしゃっていました。緒方コーチと言えば攻守走3拍子そろった外野手でしたが、丸選手の色とは?

丸 僕の理想は、すべての分野を高いレベルに持っていくこと。打つことにしろ、走ることにしろ、守ることにしろ、3拍子すべてがそろってこそ一人前だと思います。打撃はもちろん、すべての面でもっとレベルアップしたい。緒方さんはガッツがあって闘争心あふれるプレーの印象が強いですけど、僕はなかなかそれが難しくて(苦笑)。地味に堅実で、寡黙なプレーヤーになろうかなと。まずは結果を残してナンボですね。

――初のCSを経験して、個人、チームとしての視野が広がったと思います。

丸 初めてCSを経験して、優勝したい気持ちがより強くなりました。短期決戦は1試合の結果が命取りになるし、同じチームでもシーズン中とは違う。阪神には自分たちの野球ができましたが、巨人にはそれができなかった。それが強いってことなんでしょうね。チームとしては、来年こそ優勝を、個人的には3割を打ってみたい。頑張ります!



広島担当が選ぶがBEST SCENE!!
2013.8.6@マツダ広島



「8.6」に54年ぶり白星

2年ぶりに本拠地で開催された広島原爆記念日での公式戦(対阪神)。0対0で迎えた9回、一死三塁で打席に入ると中犠飛を放ち、「8.6」には55年ぶりとなるメモリアル勝利を呼び込んだ。お立ち台では「自分が決めてやろうと思った」と振り返り、今季2度のサヨナラ打を放った勝負強さを発揮した場面だった。

PROFILE
まる・よしひろ●1989年4月11日生まれ。千葉県出身。177cm80kg。右投左打。千葉経大付高から2008年高校生ドラフト3巡目で広島入団。10年に一番・中堅で二軍92試合に出場し、一軍初昇格。14試合に出場し、3 安打1打点をマークした。11年から一軍定着し、131試合に出場。今季は開幕からレギュラーに名を連ね、主に一、三番を務め、自身初タイトルとなる盗塁王とゴールデングラブを獲得した。今季の成績は140試合出場、138安打14本塁打58打点29盗塁、打率.273。

PRESENT

丸佳浩選手直筆サイン入りBBMカードを抽選で2名様にプレゼントいたします。ご希望の方は、下記のプレゼント応募ページのリンクから、1)〒住所、2)氏名、3)年齢、4)職業、5)電話番号、6)インタビューの感想、7)今後掲載を希望する記事・企画、8)取り上げてほしい選手、9)12月9日号のプレミアムコースの中で面白かった記事・企画、10)プレミアムコースへのご登録理由、11)本誌の購入頻度を入力してください。



締め切りは12月9日です。当選者の発表は賞品の発送をもって代えさせていただきます。※ご応募いただいた個人情報は、当選者への発送、確認事項の連絡、小社の企画の参考とさせていただく以外の目的には使用いたしません。
タイトルホルダーインタビュー

タイトルホルダーインタビュー

タイトルホルダーの喜びの声やタイトル獲得の背景に迫るインタビュー企画。

関連情報

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング