ライバルたちも舌を巻く巧みなバットコントロールで首位打者のタイトルを手にした宮崎敏郎。足で稼ぐ内野安打が期待できない右の中距離砲は、純粋に打撃技術だけで安打を積み重ねた。プロ入り5年目の遅咲きは首位打者争いのさなかでも、「数字」を追いかけなかったことが最高の結果をもたらした。 取材・構成=滝川和臣、写真=小山真司、高原由佳、桜井ひとし、BBM 
もともと定評のあった内外角への対応力がさらにレベルアップした今季。日本シリーズでもインコースをうまくさばいた
打率4割、2本塁打。初の日本Sで大暴れ
──今季はCS、日本シリーズと戦いましたが、シーズンを振り返ると。
宮崎 すでに気持ちは来年に向かっています。でも、あらためて振り返るとCSは雨で試合が流れたこともあり、日程が詰まってギュッと濃縮していたシリーズでしたね。その流れで日本シリーズまでトントンと来た感じでした。
──日本シリーズまでのCSも過酷な戦いでした。甲子園での“泥だらけの決戦”、
広島でも雨に泣かされました。チームの雰囲気はどうでしたか。
宮崎 試合に負けてもチーム全体の雰囲気が沈むことはなかったですね。昨年もCSを経験して雰囲気も分かっていたので、シーズンどおりでした。昨年とは違った感じだったことは確かです。
──CSを勝ち進んでいく中で、得たものはありますか。
宮崎 とにかく負けられない戦いが続いていたので、雨が降ろうが、グラウンドに水が溜まろうが、絶対に勝つという気持ちでやれたことですかね。泥だらけの甲子園でも水溜りがないような感覚、気持ちでプレーしていました。
──CSを突破して初の日本シリーズへ。どんな気持ちで開幕を迎えましたか。
宮崎 意外とすんなり入ることができました。緊張感もそれほどなかったです。リーグ優勝して日本シリーズに行くのとは違うと思うんです。セ・リーグ3位ということもあって、「どこまで行けるのか?」「自分たちの野球がどこまで通用するのか?」という期待感のほうが大きかったです。
──日本シリーズは6試合で20打数8安打で打率.400、2本塁打、5打点とバットでチームに貢献しました。2戦目[ヤフオクドーム]には
森唯斗投手から左翼へ勝ち越し2ラン。3-2から真っすぐをインコースに2球続けられた末の「技あり」の一発でした。
宮崎 体の反応で打ったような1本でした。瞬間にくるっと体が・・・
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