シーズンを通して抜群の安定感を見せた。序盤から低迷するチームの中で、懸命に腕を振り、黙々と投げ続けた。5年目にしてつかんだ初タイトル。しかも2冠だけに喜びも大きい。 取材・構成=牧野正 写真=桜井ひとし、井田新輔、川口洋邦 
最優秀防御率、最多奪三振の投手タイトル2冠を獲得した柳。今年は「プロ5年目でやっと初めてシーズンを通してできたかな」と話した
危機感からの脱出 自分を見つめ直せた
開幕前のタイトル候補予想に大野雄大(中日)や菅野智之(巨人)の名前はあっても、柳裕也の名前は見当たらなかった。プロ3年目の2019年に初の2ケタ勝利をマークしたものの、20年は故障もあって6勝止まりでは無理もない。しかもオープン戦では3試合で14失点、防御率7.88と炎上。本人もタイトルなど考えもしなかった。5年目の今シーズンは追い込まれた中で始まり、そして思いがけない結果で終わった。 ──最優秀防御率と最多奪三振の2冠獲得、おめでとうございます。
柳 初めてのタイトルですから、やっぱりうれしいです。
──シーズン終盤は意識しましたか。
柳 最後のほうは、どうしても意識してしまいました。自分の数字というのは、どうしても気になっていたし、やっぱり毎日毎日、数字で出ますから。
──どちらのタイトルがうれしい?
柳 これはどっちもうれしいです(笑)。比べられないし、2つも獲れたっていうことが本当にうれしいです。
──最多勝も射程圏内で投手3冠の可能性もありました。勝率を含めれば4冠のチャンスも……。
柳 あったかもしれませんが、そこはまた来年頑張ります!
──昨年は大野雄大投手がまったく同じ2冠獲得でしたが、大野さんからは何かタイトルについて言われましたか。
柳 祝福の言葉をいただきましたし、お祝いの品もいただきました。ゴヤールのスーツなどを入れるバッグ(ガーメントバッグ)です。刺しゅうも入っていてびっくりしました。感謝です。
──タイトルではありませんが、172投球回もリーグトップでした。これもうれしいのでは。
柳 今シーズンは9回打ち切りでしたから、いつもより継投も早くなっていくだろうと思っていました。実際そうだったと思いますし、その中で自分がリーグで一番投げられたというのは自信になりましたし、確かにうれしいですね。
──2年ぶりの2ケタ勝利で、しかも同じ11勝ですが、2年前と比べて何か違いはありますか。
柳 2年前、19年のシーズンは3年目でしたけど、それまで・・・
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