圧倒的な強さで最速優勝を果たした阪神のエースとして負けない投球を1年間続けた。終わってみると3冠達成。キレで勝負するコントロール投手が、しっかりと試合をつくり、チームを勝利に導き続けた。今季勝ち続けた要因は「無」。この境地に立って打者を圧倒した。 取材・構成=椎屋博幸 写真=毛受亮介、BBM 最優秀防御率を諦めた結果
藤川球児新監督が昨秋、すでに開幕投手を村上頌樹に告げていた。その期待に応えるように開幕では8回2/3まで完封ペースの快投。完投勝利は逃したが、ここで大きな自信を得て、1年間エースの仕事をこなし、チームを2年ぶりの優勝に導いた。 ――村上投手の2025年シーズンの投手成績を見ると〇(勝ち星)が多いなあ、と思いました。これだけ負けず、勝てば投手3冠を獲得しますよね。おめでとうございます。
村上 いやいや……ありがとうございます(笑)。獲れると思って獲れるものではないので、素直にうれしいです。
――もうひとつ、2度目の最優秀防御率も狙えたと思っています。
村上 シーズン最初は防御率もよかったので狙って行こうと思っていました。でもこの数字が途中で悪くなる中で、才木(
才木浩人)が良かったので、これはもう無理だって……(笑)。
――諦めたのはいつですか。
村上 防御率が2点台になったときです(7月11日対
ヤクルト戦=甲子園2回6失点)。ここで終わりました……。ああ、無理だなあって。でも、このとき防御率のタイトルをあきらめ、勝つことを優先にしようと切り替えたので、ほかのタイトルが獲れたのかな、と今は思っています。
――では、やはりシーズン当初から防御率のタイトルは、自分の投球の中で大きな割合を占めていたんですね。
村上 はい、そうなんですよ。目標としては最後まで1点台で終わりたいなと思っていて、それを狙って投げていました。だから、シーズン防御率2点台で終わってしまって、納得はしてないんですよね。まあ、イニング数と勝ち星は伸ばせたのでよかったかな、と(笑)。
――防御率の低さを維持するピッチングというイメージが自分の中にあったのでしょうか。
村上 防御率が低い=点を奪われていないという証拠ですよね。低いと「チームの勝つ確率が高くなる」=「優勝に近づく」という関係になります。だからこそ防御率は気にしていた部分でしたし、狙っていました。一方で、そこに固執せず、毎試合、1点取られてもいいや、くらいの気持ちで投げていたので、それが3冠につながったのかとも思います。
――得点圏に走者がいるとき、ギアを上げて力を入れたりもしていたように感じました。
村上 抑えたい気持ちがあるので、ギアは入ります。でもギア=力みにならないようにして、そして周りを見ながら投げられていたと思います。冷静に、どこのコースに、どれくらいの力で投げていくかを、考えながら投げていました。
――ギアを入れることと、力むとの違いは、なかなか表現が難しいです。
村上 力はいれて投げているんですよ。でもリリースのときには力が・・・
この続きはプレミアムサービス
登録でご覧になれます。
まずは体験!登録後7日間無料
登録すると、2万本以上のすべての特集・インタビュー・コラムが読み放題となります。
登録済みの方はこちらからログイン