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惜別球人2024

井上晴哉(元ロッテ) 引退惜別インタビュー 愛されたパワーヒッター「良いときも、そうでないときも、ご声援ありがとうございました」

 

2018年から2年連続24本塁打。特に18年は99打点と好機に強かった。ロッテにおいて長距離砲という貴重な存在だったが、11年間のプロ野球の現役生活に今季限りで一区切りつける決断をした。ニックネームは有名プロレスラーにちなんで「アジャ」。マリンスタジアムで愛された大砲が、静かにバットを置く。
取材・構成=落合修一 写真=BBM

井上がキャリアハイのシーズンを過ごしたのは24本塁打、99打点を残した2018年


若手を見て「負けた」と思った


 豪快なスイングの背番号44は、日本生命から入団して以来、ロマンあふれるパワーヒッターとして、マリーンズファンの夢と希望を一身に背負ってきた。その期待に応えたのが2年連続で24本塁打をマークした2018、19年。18年には99打点も記録した。愛された和製大砲がいなくなる来季、マリンスタジアムのファンは誰のバットに夢を見ればいいのだろう。

――今のお気持ちは。

井上 すっきりしています。もうこれ以上バットを振らなくていいんだ、という。すべてにおいてやり切った気持ちです。

――引退を決めた一番の理由は何ですか。

井上 今の若い選手たちが振り込んでいる様子を見ていると、同じようにはできない。今のプロ野球のレベルはこんなに進んでいるんだ、と思いました。同じチームの打者を見ても、自分の実力では追いつけないなと。「まだまだ負けない。自分はできるぞ」という気持ちにならなくなったのは事実ですね。

――と言っても、井上さんが一軍で年間24本塁打したのはほんの5年前(18、19年)。そのころとも違いますか。

井上 はい。時代が変わったと感じていますよ。自分自身がケガをして同じように振ることが難しくなったのもありますが、投手のレベルは確実に上がっています。若い選手を見ていても「こんなにすごいピッチャーがいるんだ」と感じることがありますから。僕が入ってきた11年前と比べても、プロ野球は変わってきています。

――今年の井上さんは一軍の試合出場ゼロ。つまり、ファームでそう感じたというわけですね。

井上 そうです。今までは自分はこうやったほうがいいと自分で考えながらやっていましたが、最近は若い選手から教えられることばかりで、僕が「今のプロ野球はこのくらいのレベルまで来ているんだ」と感じるようになりました。今年イースタン・リーグで2冠王を獲得した山本大斗というバッターがいるのですが、こいつには敵わないと敗北感を感じています。本当にあいつは素晴らしい。僕は今まで打つことに自信があったのですが、あいつのバッティングを見ていると負けたと思いました。

――22歳の山本選手はファームで本塁打と打点の2冠を獲得した期待の若手選手ですが、現時点で一軍の本塁打ゼロ(通算9試合に出場)。それでも負けたと思いましたか。

井上 はい。スイングのスピードが違いますし、一軍で通用するための打席での工夫をファームでやっているのを僕は見ています。彼は来年、やると思います。

――井上さんが具体的に引退を決意した時期は。

井上 ファームの公式戦が終わってからですね。9月いっぱいで・・・

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惜しまれながらユニフォームを脱いだ選手へのインタビュー。入団から引退までの軌跡をたどる。

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