2014年のドラフト指名選手を取り上げる短期連載がスタートする。第1回は、ヤクルトからドラフト2位指名を受けた、東京農業大学北海道オホーツクの風張蓮。高校時代から注目される存在だったが、北の大地で4年間心身ともに鍛えられ大きく成長した。セ・リーグワーストのチーム防御率4.62のヤクルト投手陣を立て直す力になれるか――。 文=池田晋 写真=BBM 
▲ドラフト指名直後に行われた記者会見。左は東農大北海道オホーツクの樋越監督
強い相手に燃えるタイプ
ドラフトで指名された瞬間、歓声と拍手が沸き起こり、風張はフラッシュの嵐にさらされた。東農大北海道オホーツクキャンパスの教室で行われた記者会見で、張りつめていた空気が一気にほぐれ、祝福ムードに包まれた。
指名を受けた直後には「大学生活で何度か登板し、思い出のある神宮球場を使用している球団なので、そこでもう一度自分の力を出したい。チームを盛り上げて勝てる投手になるのが目標です」と意気込みを語った。
4年間、風張を鍛え上げた樋越勉監督の表情にも笑顔がこぼれた。
「両親には、“上位で指名されるような選手に育てます”と言って預かったので本当によかったです。2位指名に応えられるだけの選手だと思います。北海道に来てプロの選手を9人輩出でき、本当にうれしいです。これは地元の方々の応援、後押しがあり、大学関係者の方々の温かい応援が彼を支え、ドラフト1位に限りなく近い2位という結果につながりました」
生まれは岩手県北部にある人口約6000人の九戸(くのへ)村。その面積の70パーセント以上が山林原野で占められており、スキー場やキャンプ場もある自然豊かな村だ。長興寺小3年時に銀杏クラブで野球を始め、そのときからプロを目指していた。九戸中では軟式野球部に所属し、138キロの速球を投げ、県選抜にも選ばれて注目され始めた。県内だけでも7校から誘いを受けたが、そのすべてを断り、九戸村唯一の高校である伊保内(いぼない)高に進学した。
「本当は迷いました。でも、強いチームをどれだけ抑えられるかということに魅力を感じました。強い私立を相手にすると燃えるんです」
1年時からベンチ入りし、2年春からエースになるが・・・
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