王道を歩んできたわけではない。それでも、だからこその強みがある。無名の公立校から進んだのは、滋賀県にある甲賀健康医療専門学校。師との出会いが、未完の右腕をドラフト指名選手へと引き上げた。 写真=BBM、甲賀健康医療専門学校提供 
11月22日の入団会見では、壇上で「とても緊張していて今にも吐きそう(笑)」と心境を吐露。翌日のファン感謝祭でも「2万人の観衆に圧倒された」と初々しさを見せた
熱心な勧誘で専門学校へ進学
16年11月22日の入団会見。華やかな席上、西口はこんなことを口にした。
「僕はこういった経験が初めてで、とても緊張していて今にも吐きそうなのですが、こういった場所にも慣れていけるように、日々練習をして頑張っていきたいです。よろしくお願いします」
新人らしい、実に初々しい発言だが、これがまさしく本心だった。
翌23日、Koboパーク宮城で開催された
楽天イーグルスファン感謝祭。過去最多となる2万573人を動員したこのイベントにおいて、球団史上初めて新人14選手がお披露目となった。ここでも興奮を隠せない。
「普段の試合では、お客さんは200人いるかいないかくらいなんです。それが2万人ですからね……。圧倒されてしまいました(苦笑)」
その経歴は地味なものだ。小学時代、八尾ドラゴンズでは『住吉ライオンズ杯』で優勝経験はあるが、中学時代に所属したヤングリーグの八尾柏原ツインズでは特筆すべき実績はなし。強豪校からの誘いもなく、八尾市の自宅から通える公立校・山本高に進んだ。結果的にこの選択が吉と出る。
「山本高は、野球では無名校。でも、弱いチームを何とか強くしたいという一心で投げていました。また、のびのびとした環境も僕に合っていたんです」
中学時代からエースを務めていたが・・・
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