10月24日に行われた2024年のNPBドラフトで支配下69人、育成54人が指名を受けた。プロの世界へと飛び込む選手を短期集中連載で紹介。第1回は今春のセンバツ8強へ導いた右腕だ。 取材・文=喜岡桜 ドラフトではDeNA育成2位に、チームメートから祝福された[写真=喜岡桜]
飾り気がなく素直
2024年春。阿南光高の146キロ右腕エース・
吉岡暖は甲子園で2勝を挙げ、センバツ8強へと導いた。同校の出場は、統合再編前の新野高が1992年に名乗りを上げて以来、32年ぶり2回目。中学時代からの仲間たちと聖地で躍動する姿は、野球の盛んな地元・阿南市に、明るいニュースを送り届けた。春夏連続甲子園出場を目指した今夏の徳島大会は、鳴門渦潮高との決勝で惜敗。延長10回タイブレークでサヨナラ負けを喫した(5対6)。
引退後、8月29日にプロ志望届を提出した。新学期以降、平日は学校のグラウンドで汗を流し、週末は友人と釣りをするなどリフレッシュし、10月24日の「運命の日」を迎えた。全12球団から調査書が届いたが、緊張の糸が張り詰めたまま時間が過ぎる。甲子園で対戦した相手、県内で腕を磨く独立リーガー、県大会で投げ合った生光学園高・
川勝空人(
日本ハム育成1位)の名前が先に読み上げられ、ジリジリと焦燥感にかられていく。「とにかく指名してくれ」。そう願う吉岡のこわばった頬が緩んだのは、ドラフト開始から2時間半が過ぎるころだった。DeNAから育成2位指名された。
「こういう結果になったので、これから人一倍、すぐに支配下になれるように、頑張っていきたいと思います」
飾り気がなく素直で、誰とでもよく話す18歳だが、マウンドに立てば、その親しみやすいオーラは一変する。二段モーションのようなフォームからのストレートは最速146キロを計測し・・・
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