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2024ドラフト指名選手クローズアップ

DeNA3位・加藤響(徳島インディゴソックス・内野手)独立リーグで磨いた技術と精神力「ここでチームのために何が最善なのか? どうしたらチームのためになるか? と考えました」

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背番号37。球団の期待は大きい。12月7日の入団発表では「横浜スタジアムで暴れたい」と抱負を語った。一時は野球を断念したが、不屈の闘志で這い上がってきた。
取材・文=高田博史

11月、徳島市内で仮契約。担当の欠端スカウト[右]の期待も大きい[写真=高田博史]


1年前に大学野球部を退部


 加藤響を取材したのは2024年11月末、4日後には1年間暮らした徳島の自宅を引き払う。昨年のこの時期も引っ越しがあった。東洋大硬式野球部を退部し、選手寮を出たのは、ちょうど1年前のことだ。

 東海大相模高時代に通算35本塁打を放ち、東洋大には特待生として入学した。1年春からレギュラー。同秋からは東都二部も、3年春まで常時出場してきた。同春、駒大との一部二部入れ替え戦で三塁手として一部復帰に貢献。だが、3年秋に初めて先発を外されると、狂い始めた歯車を修正することができなかった。

「もう、限界なんじゃないか……?」

 快走し続けていたエリートコースを自ら降りている。これまでの恩師に退部したことを告げると、誰もが「野球を続けろ」と言う。「俺が社会人チームを探すから」と言ってくれた恩師もいる。しかし、それでも戻る気にはなれなかった。

徳島を薦められた理由


 自動車関連の会社に就職することを目標に、企業説明会への参加を考えていた12月中旬、藤沢市にあるルーツベースボールアカデミーを訪れている。小3のころから養父鐵代表(元ダイエーほか、現・デトロイト・タイガース日本担当スカウト)に育ててもらった。これまでのお礼と「違う道に進みます」ということだけは、ちゃんと自分の口から伝えたかった。

「何を言ってんの? お前はこんなところで終わる選手じゃない。俺はちっちゃいころから見ていて、お前は絶対プロに行けるって思っていた。本気でやってないんだよ。だから、お前自身がもっと変わればいい話だよ。そんな難しい話じゃない」

 やるならNPBを目指せ。養父が薦めたのは徳島インディゴソックスだった。独立リーグの球団なら関東にもたくさんある。しかし、目標をかなえるために進むべき道のりを、養父は譲らなかった。

「お前は普通にやれば、絶対にプロに行ける。でも、インディゴじゃないと、それはかなわない」

 加藤とは幼稚園のころから幼なじみである、2人の親友がいる。3人で食事をしたとき・・・

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ドラフトで見事に指名を勝ち取った選手たちに焦点を当てる短期集中連載。

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