捕手として甲子園を目指した球児は、大学で投手としての才能を見出された。公式戦デビューは3年春のリーグ戦、ケガに苦しみ、順風満帆とは行かずも、見事にNPBへの切符をつかみ取った。長身から投じる直球を武器とする右腕は、ダルビッシュ有(パドレス)を目標とする。大成が期待される、未完の大器だ。 取材・文=小林篤 写真=井出秀人、大賀章好 
ドラフト会議の10月23日、ヤクルトの帽子を被り、ヤクルト製品のパネルを手にガッツポーズ
運命を分けたコンバート
全体36番目、ヤクルト3位指名の瞬間、ドラフト会議をともに見守っていた仲間が一斉に歓声を上げる。名前を読み上げられた創価大・
山崎太陽は大きく口を開けたまま。状況を飲み込むのに時間がかかっていた。
「ぼーっとしていたら(名前が)呼ばれたので本当にうれしいです。下のほう(下位)、もしくは育成で呼ばれると思っていたので。まさかこんな順位とは思っていなかったです」
喜びよりも先に驚きが来た。自身の予想をはるかに上回る指名の速さに驚くのは無理もない。6月の全日本大学選手権で右肘を疲労骨折し、実戦復帰を果たしたのはドラフト会議3日前の秋季リーグ最終戦のこと。そもそも、投手に転向したのが大学1年の6月である。それまでは捕手としてプレーしていたのだから。
運命を変えるきっかけは2022年2月。大学入学を目前に参加した創価大の春季キャンプでのことだ。佐藤康弘監督は投手陣をチェックしていたところ、捕手・山崎の返球に目が留まった。そして、佐藤監督が山崎に声を掛けた。
「ピッチャーをやりたくないか? もし、お前がやりたいと言うのなら・・・
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