“スーパー1年生”として名門・報徳学園高では夏の甲子園4強進出に貢献した田村伊知郎。立大でも早くからの活躍が期待されていたが、神宮の壁は高かった。しかし、不屈の男は折れない。今春、ドラフト候補に急浮上した田村伊知郎。 報徳学園高では1年夏に甲子園のマウンドを経験するなど、早くから知られた存在だった。大学では故障の影響もあって、本来の投球がなかなかできていなかったが、今春の東京六大学リーグ戦では、先発の柱としてフル回転。優勝がかかった明大戦では3連投するなど、タフな一面も見せた。上背はないが、ポテンシャルは高いので、各球団のスカウトは秋までチェックを続けるのではないか。結果次第では十分、ドラフト指名対象に入ってくる。
投球フォーム(8.0)は変なクセがなく、体全体を使って投げられている。マウンドで躍動感を感じさせるのは魅力だ。ただ、リリースポイントが一定になっていない点が気掛かり。投げ急ぎに注意して、同じ形で投げられるように、ブルペンから意識してほしい。
常時140キロ台中盤を計測するストレート(8.0)には球威がある。今後はスピードだけでなく、打者の手元で伸びる球質を目指してもらいたい。下半身で粘って、リリースが打者寄りになってくれば、質のいい直球になる。
変化球(8.0)はスライダーやカットボール、落ちる球など種類は多いが、どの球種も絶対的な決め球にはなっていない。困ったときに信頼できる変化球を2つくらい持っていれば、投球の幅が広がる。緩いカーブも覚えてほしい。
制球力(8.5)は大学生のレベルでは高い点数を付けられる。特に右打者の外角低めへの制球は素晴らしい。今後はベースの右サイド、右打者で言えば内角をえぐる球の精度を高めてほしい。外だけの攻めになると、打者に踏み込まれてしまう。意識的に高め球も使うように心掛けてもらいたい。
投球術(8.5)はストライク先行ができている試合は自分のペースに持ち込めるが、不利なカウントからの配球には課題が残る。打者の頭にない緩い球でストライクを取るとか、緩急が重要になる。
経験豊富なだけに投手守備(8.0)は安定している。バント処理では打球への一歩目のスタートはいいし、各塁への送球も安定している。けん制やクイックの技術も高いので、このまま伸ばしてほしい。欲を言えば、一塁けん制のパターンを増やせれば、走者をさらにクギ付けにできる。
メンタル(8.0)は強い。マウンドでは打者に向かっていく姿勢が見られるし、ピンチでも動じることなく自分のリズムで投球することができる。
体力(7.5)はまだ物足りない。肩のスタミナ、持久力はあるが、下半身の強化が必要となってくる。長いシーズンを乗り切るためには、疲労が残らない体の強さも必要。股関節の柔軟性を高めることも、並行して取り組んでほしい。
総合力(7.5)は現時点ではまずまずだが、全体的にレベルアップしてほしい。
日本ハムの
武田久のようなタイプで、将来性(8.0)は十分。セットアッパーや
ロングリリーフに向いていると思うが、日米大学選手権ではストッパーとしての適性も見せただけに、さまざまな役割がこなせる投手だ。
■採点表 投球フォーム 8.0 ストレート 8.0 変化球 8.0 投球術 8.5 制球力 8.5 守備力 8.0 メンタル 8.0 体力 7.5 将来性 8.0 総合力 7.5 合計 80.0 ※採点の基準は2016年のドラフト対象選手
PROFILE たむら・いちろう●1994年9月19日生まれ。兵庫県出身。173cm 80kg。右投左打。箕谷小2年時に箕谷少年野球部で捕手として野球を始め、山田中では軟式野球部で投手に転向。報徳学園高では1年春からベンチ入りし、夏の甲子園では救援(背番号10)で4強進出に貢献。2年春はエースでセンバツ出場も初戦敗退。立大では1年春から登板し、3年春に先発に定着して、リーグ戦初勝利。東京六大学リーグ通算33試合、6勝8敗、防御率3.03。