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Vol.40 田村伊知郎(立大・投手) ストッパーにも適性ありの大学生右腕

 

“スーパー1年生”として名門・報徳学園高では夏の甲子園4強進出に貢献した田村伊知郎。立大でも早くからの活躍が期待されていたが、神宮の壁は高かった。しかし、不屈の男は折れない。今春、ドラフト候補に急浮上した田村伊知郎。


 報徳学園高では1年夏に甲子園のマウンドを経験するなど、早くから知られた存在だった。大学では故障の影響もあって、本来の投球がなかなかできていなかったが、今春の東京六大学リーグ戦では、先発の柱としてフル回転。優勝がかかった明大戦では3連投するなど、タフな一面も見せた。上背はないが、ポテンシャルは高いので、各球団のスカウトは秋までチェックを続けるのではないか。結果次第では十分、ドラフト指名対象に入ってくる。

 投球フォーム(8.0)は変なクセがなく、体全体を使って投げられている。マウンドで躍動感を感じさせるのは魅力だ。ただ、リリースポイントが一定になっていない点が気掛かり。投げ急ぎに注意して、同じ形で投げられるように、ブルペンから意識してほしい。

 常時140キロ台中盤を計測するストレート(8.0)には球威がある。今後はスピードだけでなく、打者の手元で伸びる球質を目指してもらいたい。下半身で粘って、リリースが打者寄りになってくれば、質のいい直球になる。

 変化球(8.0)はスライダーやカットボール、落ちる球など種類は多いが、どの球種も絶対的な決め球にはなっていない。困ったときに信頼できる変化球を2つくらい持っていれば、投球の幅が広がる。緩いカーブも覚えてほしい。

 制球力(8.5)は大学生のレベルでは高い点数を付けられる。特に右打者の外角低めへの制球は素晴らしい。今後はベースの右サイド、右打者で言えば内角をえぐる球の精度を高めてほしい。外だけの攻めになると、打者に踏み込まれてしまう。意識的に高め球も使うように心掛けてもらいたい。

 投球術(8.5)はストライク先行ができている試合は自分のペースに持ち込めるが、不利なカウントからの配球には課題が残る。打者の頭にない緩い球でストライクを取るとか、緩急が重要になる。

 経験豊富なだけに投手守備(8.0)は安定している。バント処理では打球への一歩目のスタートはいいし、各塁への送球も安定している。けん制やクイックの技術も高いので、このまま伸ばしてほしい。欲を言えば、一塁けん制のパターンを増やせれば、走者をさらにクギ付けにできる。

 メンタル(8.0)は強い。マウンドでは打者に向かっていく姿勢が見られるし、ピンチでも動じることなく自分のリズムで投球することができる。

 体力(7.5)はまだ物足りない。肩のスタミナ、持久力はあるが、下半身の強化が必要となってくる。長いシーズンを乗り切るためには、疲労が残らない体の強さも必要。股関節の柔軟性を高めることも、並行して取り組んでほしい。

 総合力(7.5)は現時点ではまずまずだが、全体的にレベルアップしてほしい。日本ハム武田久のようなタイプで、将来性(8.0)は十分。セットアッパーやロングリリーフに向いていると思うが、日米大学選手権ではストッパーとしての適性も見せただけに、さまざまな役割がこなせる投手だ。

■採点表
投球フォーム 8.0
ストレート 8.0
変化球 8.0
投球術 8.5
制球力 8.5
守備力 8.0
メンタル 8.0
体力 7.5
将来性 8.0
総合力 7.5
合計 80.0
※採点の基準は2016年のドラフト対象選手

PROFILE
たむら・いちろう●1994年9月19日生まれ。兵庫県出身。173cm 80kg。右投左打。箕谷小2年時に箕谷少年野球部で捕手として野球を始め、山田中では軟式野球部で投手に転向。報徳学園高では1年春からベンチ入りし、夏の甲子園では救援(背番号10)で4強進出に貢献。2年春はエースでセンバツ出場も初戦敗退。立大では1年春から登板し、3年春に先発に定着して、リーグ戦初勝利。東京六大学リーグ通算33試合、6勝8敗、防御率3.03。
プロフェッショナルレポート

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元巨人チーフスカウトで現在はベースボールアナリストとして活動する中村和久によるドラフト候補生の能力診断。

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