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第17回 赤字体質からの脱却――既得権益のみにすがることは恥ずべき行為

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 プロ野球に比べ、サッカーJリーグはクラブ経営の財政状況によりシビアだ。その一例として挙げられるのが、2013年度からJリーグで導入された「クラブライセンス制度」だろう。

 同制度では、ユース、ジュニアなどのアカデミーチーム保有のガイドラインをはじめ、施設、組織運営、法務関係、財務のリーグ参画のための審査基準を規定。その中で、Jリーグ(J1、J2、J3)で、3期連続赤字か来期終了時に債務超過のクラブには、翌年のJリーグに参加する資格が与えられないことが定められている。

 計画性のない身の丈以上の支出を避け、破綻のない健全経営を義務づけるためのルールだ。Jリーグは財政基盤となる企業が親会社というよりもメーンスポンサー的色彩が強いクラブが多く、親会社がバックアップ体勢にあるプロ野球とは経営構造が違う。経営悪化は倒産と直結するため、クラブはもとより、リーグ全体も財務には神経質にならざるを得ない。一方、プロ野球には、Jリーグのような財政悪化による“退場”のルールはない。

▲1993年に誕生したサッカーJリーグ。健全経営を義務づけるため現在は「クラブライセンス制度」を取り入れている[写真=BBM]



 プロ野球は、これまで赤字体質にぶら下がってきた。その根底にあるのが、1954年8月10日に国税庁長官から通達された「職業野球団に対して支出した広告宣伝費等の取り扱いについて」という税制の優遇措置だろう。この通達には、「球団の欠損金を補填するために親会社が支出した金銭は、広告宣伝費とする」という規定が明記されている。球団経営で計上した赤字補填は、親会社が損金処理として可能。ある古参球団関係者によると、「ほどほどの赤字計上となった方が税制上都合はいい、という風潮がずっとあるのは確か」と明かす。

 球団を「広告塔」として位置付けている企業は、特に発展途上であればあるほど・・・

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