アマチュアの有力選手を取り上げる「ドラフト逸材リサーチ」が、今号からスタートする。ネット裏で視察するスカウトもプロで輝く個性を発掘しようと、日々球場で目を光らせる。
早大のリードオフマンは自慢の脚力に加えた、抜群のバットコントロールで「青木二世」との評判だ。(学年表記は新学年) 取材・文=岡本朋祐 写真=大賀章好 追い込まれてからの粘りと泥臭さが武器
打席に入るたび、楽しみでならない。長打力が武器の大砲ではなくとも、見ている者を虜にしてしまう。
重信慎之介はまさに、チームに欠かすことのできない“必殺仕事人”である。たとえ凡退であっても、自ら言う「タダで終わらない」のだ。基本的にファーストストライクを積極的に打っていくが、2ストライクに追い込まれてからは打撃スタイルを変える。低めの変化球に対応するため、極端にバットを内から出す。ストライクゾーン付近のボールはすべてカットで粘る術を持っている。劣勢の場面ではケガを恐れず、内野ゴロでは一塁へヘッドスライディング。体ごとベースへ突進してしまう泥臭さも、重信のこだわる姿勢だ。
昨秋はリーグ2位の打率.404。最終戦で早大の同級生・
茂木栄五郎(4年・桐蔭学園)が規定打席に到達したため、初タイトルこそ逃したが、12試合中9試合で安打とコンスタントに安打を記録している。とはいえ、その内訳を突き詰めていくと、2カード目の明大戦は2試合で8打数無安打。5校と対戦する約2カ月の“短期決戦”で一度不調になると、立て直しが難しいケースも多々ある。だが、翌週の東大戦では2試合で8打数6安打と、スランプに陥らなかったのも、冒頭の対応力にある。
「明大戦では2つの三振があったんですが、納得の上での三振。際どいコースの見逃し三振ではボールが見えていましたし、うまくカットができなかった末の空振り三振。原因は確認できていたので、東大戦以降の3カードにつながったと思います」
先輩・青木宣親と同じく代走・守備要員からスタート
▲50メートル5秒7。抜群の脚力で試合出場のチャンスをつかみ、打撃も年々向上。昨年は年間で15盗塁と機動力を前面に押し出す早稲田野球の顔だ
東京六大学には明大・
高田繁氏(
DeNA・GM)の持つ、通算127安打の連盟記録の更新を狙う打者が2人いる。明大・
高山俊(4年・日大三)は昨秋、3年までに史上初の100安打に到達し、立大・
大城滉二(4年・興南)も94安打で追っている。長打もある左右のバットマンとは対照的に、重信は典型的な・・・
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