慶大のエース左腕はこれまで、主戦投手としての“優勝経験”がない。小、中、高はすべて準優勝で、神宮でも今春は2位だった。「シルバーコレクター」を返上する学生ラストシーズンの秋が始まる。 取材・文=岡本朋祐、写真=BBM 
大学4年間、汗を流した慶大グラウンドにて。下級生時代から起用してくれた大久保監督に恩返ししたい思いが強い
神宮球場とは縁がある。
高橋佑樹は小学6年時に「東京
ヤクルトJr.」としてNPBジュニアトーナメントに出場(投手兼外野手で予選グループ敗退)。チームメートには佼成学園高(東京)を経て、現在は国学院大でプレーする
小玉和樹がいた。高橋はヤクルトのファンクラブにも入会していたほどの燕党で、かつてリリーバーとして活躍した右腕・バーネット(2010~15年在籍)の投球スタイルに虜となった。「試合を締める抑えとして、スリーアウト目のアクションで気合が入っており、思わず、見入ってしまいました」。
慶大で1年春からずっと「34」を着けるのも、バーネットの背番号へのあこがれから。高橋は「心は熱く、頭は冷静に」という、クレバーな左腕。同じサウスポーではヤクルト・
石川雅規が理想だ。
「上背は僕よりも小さくて(石川の登録は167センチ)、今は140キロも出ない中でも、投球パターンを駆使して抑えている。フィジカル面では39歳でも工夫しながら過ごしている部分を尊敬しています」
慶大では2017年からボールの回転数や回転軸を計測する「トラッキングシステム」を導入している。ブルペンでの投球練習から自身の数字を知ることで、どのような配球にすれば良いかを熟考していく。最速143キロである高橋の場合、ストレートは2100回転の後半と平均値ながらも、回転軸はタテできれいなスピンが利いているという。一方、スライダー(高橋の自己申告ではカットボール)は2800回転と、基準値の2500回転をはるかに上回る数値をたたき出しており、これが、高橋の大きな武器となった。つまり・・・
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