2019年夏、甲子園で躍動した奥川恭伸(現ヤクルト)の投球に魅了され、生まれ育った大分から、石川で勝負する覚悟を固めた。投球センス抜群。勝負勘にも優れており、夏の主役へと上り詰める。 取材・文=岡本朋祐 写真=BBM 
星稜高グラウンドにある2019年夏の甲子園準優勝を称える石碑。悲願の全国制覇が最大であり、唯一の目標だ
好きな言葉は「前人未到」。
武内涼太は2年春、夏に続いて自身3度目の甲子園の土を踏むため、金沢市内の星稜高グラウンドで、追い込んでいた。かつてヤクルト・奥川恭伸が下半身強化をしていた名物メニュー・坂道ダッシュが、スタミナ勝負の夏への活力となるのである。
「石川勢初の全国制覇へと導いた上で、甲子園における高校生最速の156キロを計測して、1試合22奪三振を更新する」
決してビッグマウスではない。チームへの思いから、自然と出てきた言葉だ。
大分県出身。久留米東ボーイズでは、投手として九州大会3位。中学2年時、星稜高が甲子園準優勝を遂げ、奥川恭伸(現ヤクルト)の投球にクギ付けとなった。
「智弁和歌山との3回戦での延長14回に及ぶ投球が、印象に残っています。星稜に行きたい。生まれ育った九州から出て、自分の知らない厳しい環境に身を置いて、野球をしたいと思いました」
久留米東ボーイズでコンビを組んだ捕手・近藤真亜久は高校の進路を迷っており「二人で日本一のバッテリーになろう」と、武内が星稜高に誘った背景がある。
1年春の県大会から背番号18でベンチ入り。同夏は準々決勝(対遊学館高)を、新型コロナウイルス感染の影響で、出場辞退の無念を味わった。同秋は・・・
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