誰よりも走るのが好きだった。50メートルを5秒8のスピードで駆け抜ける脚力で流れを引き寄せる韋駄天。周東佑京(ソフトバンク)にあこがれる高校生にプロのスカウトから熱視線が注がれている。 取材・文・写真=内田勝治 
日米通算4367安打をマークしたイチローのような対応力を備えた打撃を目指す
「韋駄天」「チーター」「新幹線」……。周囲から「快足」の代名詞で呼ばれる選手が福岡の戸畑高にいる。
萩原望安の武器は、50メートルを5秒8で駆け抜ける「足」だ。昨年4月に就任したOBの中村竜也監督も「相手チームが警戒していなかったり、ぼんやりしていたら、一塁ゴロでもセーフになることがある」と、あまりの健脚ぶりに目を丸くする。周東佑京(ソフトバンク)に憧れる18歳は、足だけでプロを狙える逸材と言っても過言ではない。
「小さいころから走るのが大好きで、小学校のときもずっと鬼ごっこをしたり、学校から家までの3キロぐらいある道のりを、ランドセルを背負って走って帰っていました」
山鹿小1年時に学童野球チームの山鹿ビクトリーに入団。野球経験のある父の宗幸さんからは「お前は足があるので、どんな当たりでも、一塁まで全力疾走しなさい」と口酸っぱく言われ続けてきた。その成果もあり、上級生に上がるにつれ、リードオフマンとして頭角を現す。当時の監督は、萩原少年に盗塁の判断を委ねる「グリーンライト」の権利を与えるなど、絶大な信頼を置き、5年時には練習試合も含めて1シーズンで110盗塁と走りまくった。
「一番の自分が塁に出て、三盗までして、二番打者がスクイズで得点するというのが攻撃のパターンになっていました。足には自信があったので、リードは小さめにすることで、帰塁はあまり意識しなくていいので、スタートのことだけを考えてどんどん走っていました」
リードの小ささは、中学で所属した八幡ひびきのボーイズや、戸畑高に進学してからも変わらなかった。通常の一塁リードは、アンツーカー(人工芝球場のベース周囲を土で囲んだ部分)を右足でまたぐ程度の距離を取る。しかし、萩原の両足は・・・
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