週刊ベースボールONLINE

ドラフト逸材クローズアップ

皆吉赳翔(矢上高・投手) 町の希望の星となる148キロ右腕「ずっとプロに行きたいと思っていて、それが夢から本当の目標になった」

 

今夏の甲子園で島根の県立校・大社高が93年ぶりに8強進出と快進撃を見せた。前年秋の県大会準決勝で同校から完投勝利(3対2)を挙げた大型右腕は、NPBスカウトから、その将来性を期待されている。
取材・文・写真=井上幸太

矢上高からプロ入りしたのは1998年のドラフトで巨人から5位指名を受けた酒井順也。皆吉には、26年ぶりがかかる


 人口1万人弱の町である、島根県邑南町。島根県の中ほどにある、山々に囲まれた町唯一の高校が、矢上高である。

 山間の県立校が最も甲子園に近づいたのが、1997年。創部初めて夏の決勝に駒を進めた。試合は1対2で浜田高に惜敗。当時の浜田高の主戦だったのが、2年生左腕・和田毅(ソフトバンク)。矢上高も、後にプロに進む選手を擁していた。和田と同じく2年生だった酒井順也だ。

 翌年夏は初戦敗退に終わるも、大型右腕は潜在能力を評価され、巨人から5位指名を受けた。矢上高からのプロ入りは、酒井が最初で最後。だが、26年の時を経て、プロ志望届を提出したのは皆吉赳翔だ。177cm85kgの厚みのある体から、最速148キロを投じる本格派である。

 矢上高は97年夏に準優勝して以降、特に2000年代に入ってからは、県大会の戦績が安定しなかった。08年秋の8強、11年春の3位など、上位に食い込む年もあれば、大会序盤であっさりと姿を消す年もある。地場の好選手が集まれば勝つが、勝ちあぐねることのほうが多い。全国に数多ある“普通の公立校”だった。

 それが、近年は19年秋に優勝で中国大会1勝、23年秋は準優勝。18年秋、21年春、24年春は4強まで勝ち進んでおり、上位常連と呼べる戦いぶり。20年秋は県4位で中国大会に出場し、翌21年のセンバツ21世紀枠の中国地区推薦校になった(09年は県推薦校)。潮目の変化には、17年夏終了後の山本翔監督の就任が、大きく関係している。

 山本監督は、捕手として広島でプレーした元プロ野球選手。“野球を通じての町おこし”の実現に向けた一手として招へいされた。現在は・・・

この続きはプレミアムサービス
登録でご覧になれます。

まずは体験!登録後7日間無料

登録すると、2万本以上のすべての特集・インタビュー・コラムが読み放題となります。

逸材発掘!ドラフト候補リサーチ

逸材発掘!ドラフト候補リサーチ

プロを目指す逸材を発掘し、その横顔とプレースタイルを紹介する読み物。

関連情報

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング