夏の主役となり得る大型右腕が九州の地にいる。長崎・海星高の「ミスター・パーフェクト」だ。昨年5月のNHK杯地区予選で完全試合を達成。右肩痛もあったが、誰もが認めるポテンシャルを完全開花させ、大舞台へと駆け上がっていく。 取材・文・写真=内田勝治 
チームを甲子園に導き、プロのユニフォームを着ることが目標だ
まだ伸び続ける身長
長崎の「ミスター・パーフェクト」が、最後の夏へ向けて静かに牙を研いでいる。海星高の陣内優翔は昨年5月、NHK杯地区予選1回戦の長崎東高戦で、2年生ながら県内公式戦初となる完全試合を達成。九州はおろか、全国にその名を轟かせた。
「完全試合は8回ぐらいからちょっと意識しました。試合の中盤は制球に苦しむところもありましたが、3ボールから粘ることができたので、四球を出さずに抑えられたのかなと思います」
185cm73kg。投手らしいスラリとした体形から、最速150キロの直球を投げ込む。驚くべきことに、骨が成長していることを示す軟骨組織の「骨端線」はまだ閉じておらず、身長は17歳にしてまだ伸び続けているという。
両親はともに元バスケットボール選手。父は身長188cmの大型プレーヤーで、国体に出場した実績もある。幼少のころから自宅にバスケットボールは転がっていたが、兄2人(長男・健志さん、次男・康喜さん)が野球をやっていた影響で、自然と軟式ボールのほうに興味を抱き、小学1年時に南長崎マリナーズに入部。5年時に本格的に投手となり、6年時には全日本学童軟式野球大会に出場した。
「兄2人の背中をずっと見てきて、苦しい思いなどを結構していたので、自分は絶対成功してやるという気持ちでやっていました」
土井首中では軟式野球部に所属。直球の最速は133キロをマークするなど、県下でも有名な投手へと成長し、多くの高校から誘いを受けた。しかし・・・
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