昨年6月の全日本大学選手権では先発、救援で勝利投手となり8強へ導き、一気に全国区へと名乗りを上げた。最終学年の目標は4強以上。マウンドでは淡々とゲームを作っていくことに専念していく。 取材・文=岡本朋祐 
福岡県出身。地元の高校、大学でプレーし、レベルを上げてきた[写真=BBM]
投手育成に長けた大学
あこがれの2人の先輩がいる。
水崎康平が在籍した元岡中でプレーした
三嶋一輝と
浜地真澄(ともに
DeNA)だ。
「同じ地域に住んでいて、以前から親同士も交流があったと聞いています。ずっと刺激を受けてきました。自分もプロ野球の世界で、活躍したいと思います」
小学4年時に泉ジュニアでソフトボールを始め、元岡中では3年夏に県大会を制し、九州大会では準々決勝に進出した。県内外から計8校の誘いを受けた中で、沖学園高に進学。中学3年の夏、甲子園の第100回大会に春夏を通じて初出場し、校風とプレースタイルに惹かれたという。
高校入学後、すぐにチャンスが巡ってきた。同年春のセンバツ4強・明豊高(大分)との練習試合で、7回1失点の好投。同夏の福岡大会では背番号11でベンチ入りし、九産大九州高との初戦(2回戦)の先発を託された。ところが、力を出し切れず、7回途中6失点降板。チームは2対9の8回
コールド敗退で、前年の南福岡大会優勝校(第100回大会で福岡は南・北の2代表)が初戦で姿を消した。「1、2回は無失点だったんですが。3回に6失点。先輩方の夏を終わらせてしまい、申し訳なかったです。しばらくは相当、メンタルがやられました……」。1年秋からエースも県大会は3回戦敗退。翌春からは新型コロナウイルス感染拡大の影響により、実戦機会から遠ざかった。自身の代となった2年秋、3年夏はともに九州国際大付高に阻まれている。
実は、右肘に痛みを抱えながら投げていたという。下級生時代から主戦を任され、責任感の強い水崎に戦線離脱の選択肢はなく、公式戦に合わせた調整が続いた。高卒プロ入りへの思いもあったが、大学4年間で基礎をつくり上げるため、投手育成に長けている九産大へ進学した。
全国2勝で得た収穫
水崎の生命線はコントロール。「3ボールになるだけでも、ゲームの流れが悪くなる」と、投球テンポを意識する。指先の感覚が優れており、いつでもカウントを整えられる。制球に不安がなければ、大久保哲也監督からの信頼を得るのも早かった。1年春から福岡六大学リーグで登板。秋からは先発を担ったが、右肘痛が再発した。「将来のことも考えれば、このタイミングしかない」と、長年、抱えていた不安を取り除くため、トミー・ジョン手術に踏み切った。約8カ月のリハビリを経て、2年秋に実戦復帰したが「出力が上がってきませんでした。病院の先生からは『ピークは4年春』と聞いていましたので、その言葉を信じて、地道にトレーニングを継続していました」。
飛躍のきっかけをつかんだのは、3年春である。同春はリーグトップの4勝を挙げ、全日本大学選手権では8強入りに貢献した。福岡大との1回戦で先発し、6回4安打無失点。中1日で迎えた仙台大との2回戦では7回から救援して、5イニングを投げ切り、延長11回タイブレークを制して準々決勝進出。水崎は先発、リリーフで大会2勝を挙げ、自信を深めた。計11イニングで1四球と、持ち味を発揮した。3年秋も3勝を挙げ、リーグトップの防御率1.35をマークした。
最終学年を控え、ドラフトへ向けたさらなるレベルアップのため、冬場はフォーム改良に着手した。「投球はリズム」と、二段モーションからスムーズな形へ修正。
「足を上げてから、フッと下ろす。(力感として)ゼロの時間を作り、一気にリリースに持っていくイメージです。
今永昇太(カブス)の下半身の使い方を参考にしているんです。パーソナルトレーナーと相談しながら、内転筋と臀部の動きをフォームにつなげる意識をしています」
ワンシームで投球の幅
打たせて取るのが最大の特長だったが、学生ラストイヤーは「奪三振」にこだわっていく。ウイニングショットとして、調整を重ねてきたのは「ワンシーム」である。ワンシームの使い手として知られるのは、昨年まで
巨人でプレーした
菅野智之(オリオールズ)だ。同球種を日本製鉄鹿島時代に参考にしてきたのは
ソフトバンク・
大津亮介。同社には九産大OB2人の投手が在籍しており、先輩を通じて、ワンシームが水崎に伝授された。
「チェンジアップの握りより、縫い目を少しずらすんです。シンカー気味に打者の手元に食い込みながら沈んでいく。スプリットにも近いですが、真っすぐを生かす意味でも、効果的な球種になっています。チームを勝たせることを目的にしており、奪三振は一つの武器になる。スカウトの方にアピールする上でも、一つの評価基準になると自覚しています」
成果は確実に出ている。今春の福岡六大学リーグでは開幕3連勝。九州工大戦は5回2失点、福岡教育大戦は7回無失点、日本経大戦では5安打完封と、試合を重ねるたびに調子を上げてきている。
「リーグ優勝(5連覇)を遂げて、全国ベスト4以上を目指したい。昨年は厳しい展開だった2回戦を突破し、チームとしても成長を実感しました。一方で、準々決勝で対戦した早稲田さんとの力の差、高い壁を感じたのも事実。自分は登板できずに、悔しかったです。早稲田さんの応援もすごかったです。福岡六大学の代表校でも、東京六大学、東都のチームに勝てるところを示していきたいです」
真っすぐの理想は
藤川球児(
阪神監督)。
「精度、強さ。タテ回転のストレートで勝負できる投手になりたいです」
同級生の右腕の中では、ゲームメイク能力の高い青学大・
中西聖輝(4年・智弁和歌山高)と早大・
伊藤樹(4年・仙台育英高)をライバル視している。
「チームの勝利に貢献した中で、大学日本代表候補合宿(6月中旬予定)のメンバーに入りたい思いがあります。レベルの高い場所で多くを吸収したいです。目指すは支配下でのドラフト指名ですが、目標は高く3位以内で行きたいです。息の長い投手になり、『ベテラン』と言われるぐらいまで投げ続けたいです」
自身のことをよく知るクレバー右腕は探求心旺盛。努力の先には、栄光がある。

力で押すよりも、配球を組み立てて勝負するタイプ。打者を見ながら投げられるのが、最大の強みだ[写真=BBM]
PROFILE みずさき・こうへい●2003年9月10日生まれ。福岡県出身。175cm87kg。右投右打。元岡小4年時から泉ジュニアでソフトボールを始め投手。元岡中では3年夏に九州大会ベスト8。沖学園高では1年夏から背番号11でベンチ入りし、同秋からエース。3年夏の福岡大会5回戦敗退。九産大では1年秋の途中で右肘を痛め離脱。トミー・ジョン手術を経て2年秋に復帰し、3年春には全日本大学選手権8強に貢献。福岡六大学リーグでは3年秋までに7勝をマーク。最速148キロ。変化球はカーブ、スライダー、カットボール、チェンジアップ、ワンシーム。