自らが苦しみも不安も、そして仲間とともに分かち合う喜びも知るからこそ、仲間をいたわり、その身を捧げることができるのだろう。社会人時代にはチームの活動休止に直面し、プロ入り後も2度のトレード。紆余曲折の野球人生を歩んできた。だからこそ、自らが必要とされていることに駆り立てられる。だから、強くなれる。 人は寄り添い、助け合う。
西武がピンチを迎えるとき、
渡辺直人の姿はいつもマウンドにある。
「守っていても、野手も不安で、周りが見えなくなるから。たまに競っている場面で、本塁打とか打たれると、放心状態になるんだけど。『いやいや、待てよ。お前より、投手の方が大変だから、行ってこいよ』って。(頭の後ろの)この辺に、もう1人の自分がいる」
常にチームのために考え、動く。根底にあるのは、
楽天時代の
野村克也監督の教えだ。
「答えはくれない。自分で考えさせる。試合中はいつもピリピリ。自分がプレーしていなくても、ずっと野球に入っていた。その時間が大事。そこに自分の考えを費やす時間を作れる人が、意志を持ったプレーができる」
「一流の脇役に」 
▲楽天では2009年に球団初のクライマックスシリーズ進出を経験。当時の指揮官・野村克也氏からは、プロで生きていくための多くのことを学んだ。写真はCS進出を決めたあとのチームでのミーティング。前列右が渡辺
胸に刻むノムラ語録がある。「脇役の一流になれ」
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