今季、史上2人目の日米通算3000奪三振を達成。メジャーでも屈指の先発投手である剛腕。だが「自分は変化球投手」と言い、常に進化を求めてきた。科学的なアプローチに興味を持ち、進化させ、その工程を含め「野球が楽しい」と言える境地にまで来ている。 文=奥田秀樹 写真=GettyImages 初球の入り方の変化
MLB公式データサイト「ベースボールサバント」によると、2022年9月2日のドジャース戦までの25試合の登板中、パドレスの
ダルビッシュ有が初球にカッターを投じた確率は49%だ。サイ・ヤング賞投票で2位になった2020年も41.6%だった。
多彩な曲がり球を駆使するおなじみの入り方である。しかしながらメジャー1年目の12年は初球フォーシームが41.1%で、13年スライダーを多投した年は34%だったが、14年はフォーシームが46.8%に戻った。「初球は真っすぐで」、力の落ちた投手ならいざ知らず、ダルビッシュのように身体が大きく直球が速い投手は早いカウントでは真っすぐを確立すべしというのが当時のメジャーの固定観念だった。それができれば変化球はたくさんいらないと。
レンジャーズはダルビッシュとの交渉権に約5170万ドルのポスティングフィーを払い、6年5600万ドルの契約をした。彼らの持つエースのイメージを求めたということか。だが本人は納得していなかった。
「真っすぐは過大評価されていると思っていたし、いろんな変化球を投げるのに越したことはない。でもメジャーに来て最初はすごく否定されたし、日本人の先輩たちにも・・・
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