たくさんの縁に結ばれて、プロの道に進み、入団してからも確かな成長を遂げてきた。ともに過ごす時間も長かった盟友・千賀滉大は、夢をかなえて今季から海の向こうへ。その挑戦を目の当たりしたことでまた、自らが果たすべき役割についても考える右腕。さまざまな経験を経てここまで来たからこそ、届けられるメッセージがある。 文=田尻耕太郎(スポーツライター) 写真=佐藤真一、BBM 
エース・千賀滉大がいなくなったチームの中で、3年ぶりのV奪還に石川の力は欠かせない
アタックが大事
「いなくなることに関して、特別に『俺がいなくなるけど……』みたいな話はしなかったですね」 石川柊太は2023年1月も例年同様に、千賀滉大(メッツ)とともに自主トレを行った。このオフの舞台はアメリカ・シアトル。同じ
ソフトバンクの
高橋礼や
阪神の
浜地真澄も伴って、最先端トレーニング施設とも言われる『ドライブライン・ベースボール』を訪れて動作解析などに取り組んだ。
その後に帰国し、春季キャンプがスタートする直前の1月29日にはPayPayドームを訪れて自主トレに励んだ。練習を終えると待ち構えていた報道陣へ今季の意気込みをこのように口にした。
「『開幕投手はコイツが当たり前だろ』という状態より、もっと上を目指して、上げていきたい」 もともと向上心も探求心も人一倍強い男だが、こんな大口をたたくタイプではなかった。
力強い決意表明は、やはり千賀がいなくなったチームで新たな柱となるべく芽生えた責任感なのか。ただ、千賀の名前は出さずに語ったあたりに、明確に言葉にして表現するのは野暮だと考えた石川の気持ちが見て取れた。
シーズン開幕。結果的に最初の試合の先発マウンドは若手の
大関友久に譲る形となったが・・・
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