一昨年は自身初の2ケタ勝利、昨年はやはり初の規定投球回到達とステップアップの最中だが、今まですべてが順調だったわけではない。今年はどのような“進化”を見せてくれるのか。ここまでの過程を順番に振り返る。 文=岩下雄太 写真=BBM 
2023年4月9日の楽天戦[ZOZOマリン]でトミー・ジョン手術後としての初勝利を挙げたロッテ・種市篤暉
探究、向上、修正
「自分のアピールポイントは、フォークボール。マリンスタジアムで三振をいっぱい取れるように頑張っていきたいです」 ロッテの種市篤暉は、2016年12月に行われた新入団選手発表会でこのように意気込み、プロ野球選手としての第一歩を踏み出した。あれから約9年──。19年にプロ初勝利を含む8勝を挙げ、20年には自身初の完封勝利、同年9月に「右肘内側側副靭帯(じんたい)再建術」を受けたが、22年に実戦復帰すると、23年に自身初の2ケタとなる10勝をマークし、昨季は自身初の規定投球回に到達。
小島和哉とともにロッテ先発陣を引っ張る存在へと成長した。
今も昔も変わらないのが“探究心”、“向上心”、“修正力”だ。プロ1年目の石垣春季キャンプで、
石川歩のブルペンを見学し、
「石川さんのブルペンを審判目線で見学させてもらったのですが、どのボールも一級品だと思います。ストレートは本当に音もキレも違う。カーブもスゴかったです」と目を輝かせた。2年目の18年4月15日にも、「見ているだけで勉強になる。最後までずっと見ていましたね。シンカーとかも見ていましたけど、真っすぐのスピードであったり質であったり、コツというか投げ方を教わっていたので、そこを見ていました」と一軍の次回先発登板に向け、ロッテ浦和で調整していた石川歩のブルペンを見学。当時は一軍で石川歩が先発する際、寮で映像を見て勉強した。
「自分はまだまだなので、一軍選手の意識していることを見て勉強して、ファームでやっていきたいと思います」 同年の8月12日の
オリックス戦(京セラドーム)で先発し、プロ初登板を飾った。初奪三振は2回に
吉田正尚(現レッドソックス)から134キロの低めに落ちるフォークボールだった。同試合で6回2失点にまとめる上々のデビューを飾ったが、同年は7試合に先発するもプロ初勝利を挙げられなかった。
「投球スタイルとしてもっとガンガン押せるピッチャーになってほしいと井口(井口資仁)監督に言われました。自分もそういうピッチャーになりたいと思っていましたし、一軍ではそれができていなかった。三振を取れるピッチャーになりたいと思っていたので、一軍では全然狙っても三振取れなかったりして、ウイニングショットも欠けていたと思うので、そこは練習しかないと思います」 種市が大きな飛躍を遂げたきっかけが・・・
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