2022、23年と先発ローテーション入りし、昨年も先発で開幕を迎えるも、1勝もできぬまま終戦した。そして今季、二軍で言い渡された救援への配置転換。悔しさを覚えながらも考え方を一変させ、プロ入り10年目にして新たな境地へとたどり着いた。 文=井上陽介 写真=兼村竜介、毛受亮介、高原由佳 失意の2024年
無我夢中だった。上原健太は、とにかく必死だった。プロ10年目の今季は開幕二軍スタート。それでもシーズン後半はブルペンに欠かせない存在となった男のターニングポイントとは──。
「いくつかあるんですけど……一番は一軍の試合で言うならば、あれですよね、楽天戦ですかね。僕の2試合目の登板。大量得点で勝っている試合の最後に投げさせてもらったんですけど」 いくつも印象的な登板がある中で、本人が挙げた試合は7月5日の楽天戦(エスコンF)だ。出番は12対1とリードした9回。大量リードを締めくくったマウンドが、自分の運命を再び切り開くきっかけになったと感じている。
気迫があふれていた。試合状況は関係ない。1球を投げるごとに声も出ていた、約6分半の投球は衝撃的だった。
打者4人に全16球を投げて、ボール球はわずか2球だけ。全打者を2球で追い込んだ。先頭の
伊藤裕季也からチェンジアップで空振り三振を奪うと、ガッツポーズも出た。その投球を見ていた
新庄剛志監督も拍手を送った。
続く
黒川史陽には3球勝負で、外角に150キロ直球を投げ込んで見逃し三振。
辰己涼介に対しては、抜けたチェンジアップがユニフォームをかすめて死球となったが、最後は
小深田大翔をフォークで空振り三振。ストライク先行で3奪三振とインパクト十分だった。
「そこでの投球の印象が良かったのか、次の3試合目から、すごくいい場面で使ってもらえるようになった。あの試合がなかったら、最終的にあのポジションで投げられていなかったかもしれない」 “チャンスは一瞬”を、モノにした瞬間だった。何がきっかけになるかは分からない。だから常に全力でパフォーマンスを発揮する。当たり前のことでも、おろそかにしがちな姿勢。それを崩さずに続けられたから、上原のカムバック劇がある。
1年前の7月は、どん底だった。開幕ローテーション入りを果たしていた2024年シーズンは、苦しかった。開幕前はしっかり結果を残していたが、シーズンが始まると勝てない日々が続いた。登録抹消を繰り返しながら先発した5試合で1勝もできず。その後は中継ぎ起用もされたが、こちらでも結果が出ずに、後半戦は一軍で投げることができなかった。終わってみれば、7試合登板で0勝5敗、防御率9.24。失意の1年だった。
その要因は、さまざまある。上原自身が感じていたのは・・・
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