楽天の三木肇監督は「チームで一番野球を知っている」と鈴木大地の経験値と能力を高く評価し、信頼を置く。今年で37歳。自身の体も求められる役割も変化しているが、変わらない、変えない部分も確かにある。 文=阿部ちはる 写真=桜井ひとし、BBM 
楽天・鈴木大地[内野手]
自身のスタイル
4月1日の
ソフトバンク戦(楽天モバイル)で通算147個目の死球を受けた。これは歴代6位の数字で現役では同日時点で2位の
中村剛也(
西武)の98個に大きく差をつけて独走中だ。「立つ位置が(ベースに)近いだけですよ」と鈴木大地は苦笑したが、
下園辰哉打撃コーチはそれこそが強さだと語る。「インコースの速球はみんな苦手なんです。近年はピッチャーの球も速くなっていますしね。それでも自分の強みを生かすためにあの位置に15年間立ち続けている。それは誰もができることではないんです。やり続けるすごさ。変えないすごさが大地にはある」。
厳しく攻めれば死球のリスク。少しでも甘く入ればヒット。相手投手に与えるプレッシャーは大きい。身長は175cm。ベースから離れればアウトコースでは力が伝わりにくくなり、ヒットゾーンに飛ばすのは難しくなる。痛みもケガのリスクもあるが、結果を残さなければ生き残れない。「自分が貫いてきた打ち方を続けるってすごいことですよ」と下園コーチは続けた。
自身のスタイルを貫く。それこそが鈴木の生きざまでもある。チームの野手最年長となった今季も若手に負けず劣らず、練習も試合もベンチでも声を張り上げている。その姿は理想の先輩像であり模範。だが、その優等生とも思える行動や言動は、そうあろうとしてつくり上げたものではない。
きっかけは入団から2019年まで所属した
ロッテ時代にある。3年目にしてキャプテンに就任。大先輩も多い中、キャプテンとしての在り方とは何かを考え、肩に力が入っている鈴木に当時の
伊東勤監督が声を掛けた。
「『特別なことはしなくていい。大地は今までどおりにやってくれ』と言われて、変わらず一生懸命やればいいんだと思うことができました。チームが変わり年齢も上になりましたが、楽天でもコーチの方にはそのように言ってもらえているので、特別なことをしようとは思っていないんです。僕が感じたことをしているだけ」
ベンチでの振る舞いもチームメートへの声掛けも練習への姿勢も、自分のため。わが道を究め続け、今がある。
「目いっぱい体を使って、目いっぱい頭を使ってやっているつもりです」
プロ野球の世界では特別に体が大きいわけでも、パワーやスピードがずぬけているわけでもない。だからこそ自分のすべてを使い、全身全霊でプロの世界を生き抜いている。確かな足跡を刻んできた原動力は「負けたままでは終われない」という反骨心と「このままではすぐに終わってしまう」という危機感。
「僕の場合・・・
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