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西武・佐藤爽 “遅球派”の流儀「いつ声が掛かっても、いいパフォーマンスが出せるように練習する」

 

150キロ超の速球が飛び交う現代プロ野球で、真逆の武器で勝負する左腕がいる。西武佐藤爽だ。速さへの憧れを捨て、制球力と変化球の精度を磨いてきた。4月末に支配下昇格を勝ち取り、5月の一軍初登板ではプロ初勝利。速球派とは異なる投球術で、先発ローテーション定着を目指す。
文=中島大輔 写真=戸加里真司、BBM

西武・佐藤爽[投手]


投球の生命線は制球力


 ストレートの平均球速140.8キロは、高速化の進む昨今のプロ野球ではかなり遅い部類だ。もちろん、佐藤爽自身にもその認識はある。

「みんな速いじゃないですか。155キロとか当たり前で。ライオンズの先発ピッチャーは特に150キロをバンバン出します。隅田(隅田知一郎)さん、武内(武内夏暉)さんも左でそれくらい出る。『自分も出さないとダメかな』と感じたこともありました」

 140キロに届かないこともある速球が投球の約45%を占める。それでも大卒2年目の今年4月末に支配下登録を勝ち取ると8月26日現在、7試合で先発マウンドに送り出された。

 真骨頂を発揮したのが、8月23日の楽天戦(楽天モバイル)だった。先発予定の武内が背中の張りで急きょ回避し、前夜に代役を伝えられたなかで6回途中1失点と好投した。

 球界トップクラスの先発陣がそろう西武でこれだけチャンスが回ってくるのは、佐藤がプロの投手として特別な力を備えているからだろう。

「ゲームメーク能力が自分の持ち味だと思っています。そのために大事なのは制球力。四球から崩れていくピッチャーはたくさんいると思うので」

 楽天戦では同じ左腕で、2023年ドラフト1位の古謝樹と投げ合った。140キロ台後半の速球を誇る古謝は5回二死二塁から3連続四球で同点に追いつかれ、この回限りで先に降板した。対して佐藤は丹念にコースを突き、6回途中まで1失点に抑えた。

 ストレートは決して速くないものの、スリークオーターより低い角度から、制球良く投げ込んでいく。独特な軌道も佐藤を打ちにくくしている要素だ。横方向に大きく動き、「低めのボールは垂れないことを意識してきました」と言うようにホップ成分も十分にある。

 投球割合で約33%を占めるスライダーはストレートと逆方向に変化する。左打者にはその割合が約41%まで上がる一方、右打者を幻惑するのがスライダーと逆方向に沈むチェンジアップだ。

 制球力の秘訣(ひけつ)は至極シンプルである。

「ミットに投げることです」

 セットポジションで構え、18.44メートル向こうまでの軌道をイメージする。

「(内外角への)ラインは目で出ています。目の調子がいいときはコントロールもいいです」

 試合前にキャッチボールを行うと・・・

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