2021年からの3連覇を支えた不動のホットコーナー。その後の苦しんだ年月が、プロ野球選手として、人としての幅を広げた。高卒入団12年目、30歳の節目を迎えてなお、進化を続ける求道者の達観の領域とは──。 文=阪井日向(スポーツニッポン新聞社) 写真=佐藤真一、牛島寿人、BBM 「新たな自分」と重ねる対話
確固たる「不動心」とともに、宗佑磨は2026年シーズンを戦ってきた。9月10日時点で打率.234こそ規定打席に到達した選手の中では最下位も、12本塁打、57打点はいずれもキャリアハイ。47四球もすでに自己最多の数字で、得点圏打率.341と勝負強さを兼ね備える。15年にドラフト2位でオリックスに入団してプロ12年目を迎えた今季は、6月30日に国内FA権も初取得。同7日には30歳の節目を迎えたが、健在を示す1年となっている。
「今まで(2ケタ本塁打を)打ったこともなかったけど、打てるとずっと自分を信じてやってきた。そしてやっぱりこれだけ打てるんだということを確認できたし、まだ成長段階なんだということも分かった」 どこか悟りにも似たような境地で、長いペナントレースを戦ってきた。たとえ結果が出た打席でも、直前により打てる可能性が高かったボールがあったかどうかを省みる。逆に凡退に終わったとしても、打席で得られた感覚から進化への可能性を見いだす。目先の数字に一喜一憂せず、一打席ごとに現れる「新たな自分」と対話を重ね、インプットとアウトプットを積み重ねてきた。
「状態が良いのに打てないときもあるし、状態が悪いのに打てるときもあるので。(安打も凡打も)どっちにも成長できるポイントがあるイメージ。良いときよりも悪いときのほうが、感覚が得やすかったりするパターンもある。そういう感覚を大事にして、次の打席につなげていこうと」。達観の領域でグラウンドを駆け巡っても、球場を離れるとややシャイな一面をのぞかせる好青年。
「もちろん(結果が)出ればうれしいはうれしいし、(結果が)出なければ悔しいは悔しいから……」。打てなかった悔恨、自らのミスによってチームの足を引っ張った責任を背負い込み、眠れない夜もあった。それでも結果には目を背けず、その理由を突き詰めて考えることからも逃げずに日々を過ごしてきた。
「打てない時期を大事にしないと、そこであきらめて投げ捨てると本当に(成長が)終わってしまうなと。前までだったらプレーの動画とかも見たくなかったですし。今は打てなかった動画や、エラーした動画にやっぱりヒントが隠れているので、そこから目を逸らさないようにしている」 飽くなき求道の精神は、背水の立場に立ってたどり着いたものと言えるかもしれない。21年から3年連続でベストナインとゴールデン・グラブ賞をW受賞。オリックス不動の正三塁手としてチームの3連覇に貢献したが、24、25年はいずれも不調での二軍降格を経験し、
廣岡大志の台頭もあって出場試合数はどちらの年も100試合を下回った。
「途中でどうしていいかも分からない、野球人生で一番状態が悪い年」だったのが24年。現状打破を図って同年オフに師事したのが、同僚だった
福田周平も担当していた個人トレーナーだった。
「技術的にもメンタル的にもめっちゃ難しいことを言っているから、最初は全然何を言っているか分からなくて……。結果も出なくて、一度は途中で投げ出してしまった」。25年シーズンも開幕から結果が伴わず、5月1日から6月12日まで二軍調整。
「教えてもらったことに向き合わないと、もう成長できないなと。自然とそこを考えざるを得ない状況だった」と腹をくくり、指導されたことにもう一度向き合った。
「結果にフォーカスするのではなくて・・・
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