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野球浪漫2026

広島・床田寛樹 グラウンドは“研究室(ラボ)”「打者が変化球に手を出してくれるのは、しっかりストレートを投げているから」

 

多彩な球種を操る、頼れる左のエースだ。10年目の今季も変化を続けるその投球は、日々の“研究”の賜物(たまもの)。自分自身を冷静に見つめて深める思考と理論が、投球の幅を生み、野球をさらに面白くする。
取材・文=坂上俊次(中国放送アナウンサー) 写真=宮原和也、井沢雄一郎、BBM


“凝り性”気質の原点


 ボウリングに凝った時期がある。ベストスコアは276だ。

「大学生のころで、あまりお金もかけられません。なので、投げ放題の時間帯にボウリング場に行って、友人とやっていました」

 何気ないやりとりなのだが、彼の会話には深みがある。

「真っすぐだけのときは、スコアも220〜230くらいですが。それが、カーブを交えるようになって、250を超えるようになりました」

 凝り性なのだろう。ビリヤードの腕前の良さを聞いたこともある。ハムスターを飼ったこともある。亀のために、大きな水槽を用意もした。そして、愛犬家でもある。

 2023、24年と2年連続で11勝をマークした。25年は9勝に終わったものの、キャリアハイの6完投。そして今シーズン、床田寛樹は初の開幕投手を務めた。

「(25年は)ナックルカーブが操れるようになりました。普通のカーブより約10キロ速く、変化量もあります。それと、スライダーの握りを変えました。スピードが出過ぎないようにしながら、横に切ります。横に大きくなるイメージです」

 さながら、グラウンドは彼にとって「ラボ(研究室)」の様相を呈している。春季キャンプで、こういったトライを目にすることは少なくない。しかし、床田は、シーズン中でも、「カイゼン」を惜しまない。

 今年5月、練習を終えた床田は、いつものように高くて通る声で、取材に応じてくれた。今までと異なる軌道の変化球が見られたため、質問をぶつけてみた。

「ジャイロ回転のフォークを投げてみました。数日前の練習で投げてみると落ちが良かったので、やってみました。今年はツーシームが良くないので、このボールを投げることにしました」

 しかし、誤解を与えてはいけない。31歳、チームの投手陣では年長の部類に入ったが、彼はどこまでもストレートの重要性を認識している。

「フォークも、ツーシームも。打者が変化球に手を出してくれるのは、しっかりストレートを投げているからです。そこを投げ切ることが大事です」

 工夫の原点は、学生時代にあるのかもしれない。

 園田南キッド(兵庫県)でプレーした小学6年生が、自称「全盛期」だ。身長は140cmほどしかなかったが、強い球を投げることができた。ダブルヘッダーでの2試合連続ノーヒットノーランは、最高の記憶である。

「当然、直球だけでしたが、球が速かったのもあって、抑えることができました。110キロ台の球を投げていたように記憶しています。チームも強かったし、やっていて楽しいばかりでした」

 突出した力でねじ伏せるだけではない。工夫で打者を翻弄(ほんろう)する。転機は、箕面学園高(大阪)2年のときだった。身長が大幅に伸び、178cm。球威も増し、床田はチームのエースに成長した。

 チーム事情もあり、フル回転しなければならなかった。

「究極のピッチングは27奪三振より、1試合を27球で終わらせること」。

 ショートがエラーして出塁を許せば、ダブルプレーで切り抜けた。ヒットでランナーを出しても、落ち着いた投球を貫いた。根底には、同校の田中祥雄監督の教えがあった・・・

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