各球団の将来を担う若手有望株を直撃する「PROSPECT FILE」の第5回に登場するのは、昨年中継ぎで結果を残し、終盤は先発として評価を高めたヤクルトの木谷良平だ。今季ヤクルトの先発投手としては、小川の次に勝利を挙げ、その存在を絶対的なものにしつつある。プロで生き抜く覚悟を決めた右腕が語る、現在地。 取材・構成=菊池仁志、阿部ちはる 写真=大泉謙也、BBM 経験を糧に ──中継ぎでデビューした昨シーズン。後半には先発としてローテーションを守り、今季から本格的に先発に転向することになりました。
木谷 去年は一軍で20試合中継ぎとして投げさせてもらいましたが、プロ1年目からファームでは先発をさせてもらっていました。先発が一番僕には合っていると思います。
──4月13日の
DeNA戦(横浜)では、7回6安打2失点で今季1勝目。振り返っていかがでしょう。
木谷 今年の初登板ということもあって、とても緊張しました。去年の初登板のときとはまた違った緊張感で、初めは硬くなってしまっていたのですが、だんだんと自分のピッチングができるようになって結果的に勝ちがついたという感じです。
───序盤はランナーを背負う場面も多かったように思います。
木谷 地に足がついていないというか、思ったところに投げられず、球もいかなくなっていました。ただその中でも、気持ちだけは切れないようにと心がけていましたね。打者に向かっていく気持ちだけは切れないように、と。ほんとそれだけですね。
──得点圏にランナーを背負いながらもインコースを突く投球や、持ち味である落差のあるフォークが効果的に使えています。
木谷 やっぱりインコースを突くのも気持ちの問題だと思いますので、ランナーのいる場面でも切らすことなくやっていきたいです。

▲初登板となった4月13日のDeNA 戦(横浜)では「緊張して硬くなった」と話したが7回2失点の好投で今季初勝利を挙げた
──先発として意識していることはありますか。
木谷 立ち上がりですね。やっぱり先発は立ち上がりが難しい。気負い過ぎてもダメ、気が入らな過ぎてもダメ。そういった難しさをあらためて実感しました。序盤から飛ばしていけるようにしていきたいです。
──長いイニングを投げていく難しさもあると思います。
木谷 僕は初回と5回に力を入れるようにしています。2、3、4回は初回の勢いでいく。節目節目を大事にしています。6回以降は、中継ぎの気持ちで、1イニング1イニング、バッター一人ひとり、1球1球といった気持ちで。すべて勝負球のつもりで投げていますね。
──昨年までの中継ぎの経験が生きているのですね。
木谷 6回以降は1点でも取られたらきつくなるので、意識の切り替えをするようにしています。