今季、ドラフト6位入団の岩崎優。キャンプは二軍で迎えたが、抜群のコントロールと球持ちの長いボールを武器に、オープン戦で結果を残し、開幕先発のローテに入り込んだ。勤倹力行(仕事に励みつつましやかにし、精いっぱい努力すること)の精神で現在は先発投手として欠かせない存在になっている。 ※成績は6月16日現在 取材・構成=椎屋博幸 写真=早浪章弘、BBM 先発の重圧は感じる ──開幕から登板間隔は空きながらも、先発ローテを守っています。疲れなどはありませんか?
岩崎 自分自身では疲れなどは感じていないのですが、その辺りを交流戦に入ってから首脳陣の方に考慮していただき、先発の機会をもらっています。
──そうですか。でも入団直後は、先発ローテに入れると思っていなかったのでは。
岩崎 そうなんです。プロ野球選手に本格的になりたいと思い始めたのは最近のことだったんです。だから強いあこがれよりも厳しい世界だろうな、と思っていました。入ってみてからは、プロは自分の人生にかかわってくることだなと痛感していますので、今までやってきた野球とは責任感がまったく違います。
──重圧も感じるのでしょうか。
岩崎 今は先発もやらせてもらっていますので、重圧の方が大きいですね。チームの勝利に貢献しなければいけないな、と思います。
──重圧がかかる場面などはどういうときでしょう。
岩崎 先発のない日はリラックスしています。ただ先発の日は1日中緊張しています(笑)。「きちんと仕事をしなければ」と思って……そういう重圧です。
──それでも、素晴らしい内容の投球が続いています。何か特別な練習などをしたことで、先発ローテを勝ち取った、ということありませんか。
岩崎 大学の秋のリーグ戦後は、野球部の練習に参加させてもらっていつもどおりの練習内容を繰り返しただけです。特別なにか強化練習をしたということはないです。ただ、指のケガをしていましたので、ボールは一切握らないで練習をしていました。フィールディングの練習などはしていましたが、実際にボールを投げ始めたのは、1月でした。ケガも完治し、初めて投げたときは良いボールが投げられているな、と感じました。「あれ? 結構良い球が行っているな」という感覚です。
──その中で一番感じた変化とは。
岩崎 ピッチングに関してはコントロールが良くなったと思います。大学時代まではコントロールピッチャーではなかったので。また、そこまでコントロールは意識していませんでした。でもプロになるということで、自分の球威では抑えられない。だからこそ低めに投げられ、コントロールもしっかりしないといけないと思いました。そこの意識が変化したことも何かが変わった大きな要因かもしれないです。
──どのような意識でコントロールが良くなったのでしょう。
岩崎 コースをしっかり狙うのではなくて、コース、低めともアバウトな形で狙って投げるようにしています。それがいい方向になっているのかな、と思います。細かい投球フォームのことは分からないですが、しっかりとした形で投げられていることでコントロールが良くなっていると思います。
──その中でここ最近カーブも投げているように思います。実は
ダルビッシュ有投手(レンジャーズ)の握りを参考にしているとか。
岩崎 大学生のときには、カーブは投げていませんでしたので、今は決して習得はしている域ではないのですが、ダルビッシュさんのカーブの握りを紹介した本のコピーを大学のコーチが持ってきてくれて、それを参考にしてカーブを投げ始めました。これは大学終わりの話で、今はこの球種も投げないと一軍では抑えられないので、一つの武器にしたいです。

▲4月2日、初先発初勝利の快挙でプロ入り初のヒーローインタビューを受け少し照れ笑い
自信を持てる球にする ──先発としてプロの打者と対戦し、一番感じたことは何でしょう。
岩崎 しっかり自分の自信が持てる球を投げられれば打たれないんだな、と感じました。ただ、相手打者も何度も対戦してくると慣れてきますので、そう簡単には抑えられない部分もあります。そこの辺りに難しさを感じています。今では僕のボールの球筋なども分かってきますから、その辺りを僕自身もっと工夫しなければいけないな、と思います。同じチームと当たる機会が多かったので、特にそう思いました。
──そして5月は少し勝ち星に恵まれませんでした。
岩崎 勝ちは後から付いてくるものだと思いますので、まずは自分の投球をすることです。そのときの自分の調子と相手打線の調子もあると思います。だからもともと簡単に勝てるとは思っていません。ただ、その流れの中で勝ちがつくとうれしいな、と思うくらいです。
──では現在、マウンドで一番やらなければいけないことは何でしょう。
岩崎 まずは真っすぐの精度を上げることと、コースを間違えないことだと思います。やはり甘いコースに行くと確実に打たれます。打たれないようにと、力が入り過ぎたり、逆に、球を置きに行ったりすると必ず甘いコースにボールが行き、打たれますから。そこの調整をしていきたいです。
──集中力を維持しなければいけませんね。
岩崎 集中力よりは「気を使う」の表現があっているかもしれないです。特に追い込んでからと、得点圏にランナーを出してからの投球は気を使わないといけないな、と感じています。
──一方で今の自分に足りないものはなんですか。
岩崎 技術面です。変化球がまだまたプロのレベルではないと思っています。すべての持ち球の変化球の精度をさらに上げていかなければいけない。新しい変化球を覚えるというよりも、まずはしっかり持っている球種のキレをよくしていく、プロのレベルにしていく、それを一番中心に考えています。
──そのほかに注意している点はありますか?
岩崎 とにかく低めに投げることです。変化球も真っすぐもそれが一番です。ただ、低めだけでなく胸元のボールも使っていかないと低めが生きてきません。そこの高低のメリハリを利かせたいと思っています。
──その中で球数などは意識しながらの投球をしている。
岩崎 そこはあまり考えるな、と言われています。1球1球、1イニング1イニングをまずはしっかり投げるように、と言われていますし、僕もそう思って投げています。ただやはり投球数は少ない方がいいので、意識は少し、しています。四球も少ない方がいいですね。試合にはとにかく集中していくだけだと思っています。プロ入りしたばかりのときは、すぐに一軍に上がれるとは思っていませんでした。それが今はいろいろなことを勉強させてもらっているので、1日もムダにしたらいけないな、と思いながら過ごしています。

▲1年前はまさか自分がプロのマウンドに立っているとは思わなかったと語る岩崎
──充実した日々ですね。
岩崎 1年前は、まさか甲子園のというかプロのマンウドで投げているとは思っていませんでしたから(笑)。最初のころは「俺がここ(一軍のマウンド)にいるよ」って不思議な感覚はありましたね。今は一軍の先発投手として責任を果たそうと思っています。周りがそう思っていないかもしれないですが(笑)。
──そんなことないでしょう。
岩崎 自分に勝手にプレッシャーをかけることが多く、ネガティブに考えるタイプなので、そうならないようにしています。打たれたら反省しながら一歩一歩進んでいきたいです。まだプロを2カ月しか経験してない。これからの方が長いので分からない部分も多いですが、1日1日しっかり準備していきたいと思います。
PROFILE いわざき・すぐる●1991年6月19日生まれ。静岡県出身。左投左打。184cm81kg。清水東高から国士舘大を経て2014年のドラフト6位で阪神に入団。抜群のコントロールを武器に、二軍キャンプから一軍に昇格、そのままオープン戦で結果を残し、開幕先発ローテの6番手に入り込んだ。初登板初先発の4月2日の中日戦(京セラドーム)でいきなり初勝利をつかんだ。今季の成績は9試合に先発し2勝3敗、防御率3.70(6月16日現在)。