チームが進化を遂げるには、新たな力が不可欠だ。物事を前進させる大きなパワーを秘めたフレッシュな有望タレント(プロスペクト)に迫る新連載インタビュー。ジャイアンツ随一の脚力の持ち主・重信慎之介からスタートしよう。 取材・構成=坂本匠、写真=大泉謙也、湯浅芳昭、BBM 
巨人・重信慎之介・外野手・2年目
目先の結果に……
わずか1年前、新人年の春季キャンプのことをしみじみと振り返った。
「(2年目の今季とは)違いますね……。全然、違います。流れとか、今は分かっているので。最初はそこに神経を使ってしまいます。昨季はどこがアピールポイントなのか、どこで力を入れて見せればいいのか、分かりませんでしたから」
2015年シーズンを最後に、前後トータルで12年にわたって巨人を率いた
原辰徳監督が退任。2年連続V逸中の球団は、チームの再建を当時はまだ現役プレーヤーだった
高橋由伸に託した(監督就任とともに引退)。高橋監督初年度だった昨春キャンプは大きな注目を集め、フレッシュで颯爽とした指揮官のイメージと、スピード感あふれるプレーがリンクしたルーキー・重信慎之介には連日、スポットライトが当てられた。
当の重信も開幕一軍を目指し、連日の猛アピール。キャンプ中の実戦では6試合連続安打や50メートル5秒7の快足を生かした積極果敢な走塁を見せるなど、ここ近年、絶対的なレギュラーが不在の中堅のポジションに、確かに近づいていた。
「(キャンプは)全部100%でやるわけにはいかないのに、でも、ほぼやっていました。僕の場合はまず、足が売りだったので、ベースランニングでも1人だけ100%ですから、それは目立ちますよね。連日、報道でも取り上げてもらえるので、いろいろなところで、いろいろな方に見られている意識。ただただ、必死だったんです。でも、どこかで冷静に考えている部分もあって。(プレシーズンは)結果が出ていたんですけど、手応えなんてまるでなかった。逆に、(プロの世界で)『こんなにうまくいくわけない』と思いながらやっていました」
予感は的中する。開幕一軍のメンバーに名を連ね、
ヤクルトとの開幕シリーズ第2戦(3月26日、東京ドーム)では、代打でデビュー(結果は一ゴロ)を飾るなど、ここまでは順調だった。しかし、プレシーズンとペナントレースでは“ワケ”が違う。キャンプ、オープン戦では調整段階だった経験ある主力選手たちが、開幕に合わせてパフォーマンスをMAXに。指揮官のファーストチョイスが、彼ら実績のある主力となるのは至極当然のことだ。プロ初打席で“結果”を残せなかった重信は、その後ほとんどアピールの機会を与えられないまま、開幕からわずか1週間後の3月30日に二軍降格。以降、2度の一軍昇格はあったものの、定着はままならず。新人年は25試合の出場、15安打(打率.190)、5盗塁でペナントレースを終えている。
「不甲斐ないですね。もっとできる、とは思っていないですけど、結果だけを見ると2割も打っていないですし。プロ野球選手として、良い結果ではないので、やっぱり、そこは満足できないです。原因ですか?自分では分かってはいたものの、結果が出ていないと、目先の結果が欲しくなります。本当は、1年目ということもあって、何があっても自分の試したいことを、長いスパンで考えて、1日1日を取り組もうとしていたんですが……。
ただ、やっぱり試合になると、特に二軍から一軍に上がって、結果を出さなければそこに残れないという状況に立たされると、結果を欲しがってしまう。メンタル面で自分を保てなくなったというのは大いに反省点であり、このような1年目の結果に終わってしまった原因だと思います。
ただ、一軍の試合に出させてもらって、それ以上に技術が足りていないとも感じました。そこはプロの世界で1年間、一軍でも二軍でもやらせてもらって、今年につながる部分かなと思います。オフはこの反省をムダにしないように、良い準備をしてきたつもりなので、2年目の今季は、昨季とは違う1年になるかなと思っています」