山川穂高、プロ3年目の今季、開幕スタメンの座をつかんだがバットから快音は響かずに二軍落ち。一軍の高い壁に阻まれたが、その目は死んでいなかった。努力は嘘をつかない。二軍で研鑽さんを積み、一軍に舞い戻ってきたいま、天性のアーチストの才能が開花しようとしている。 取材・構成=小林光男、写真=高塩隆 理想の打ち方を貫く
――今年はオープン戦で4本塁打をマークして、開幕スタメン入り。しかし、4試合、10打数無安打と結果が出ずに二軍落ち。悔しい気持ちがあったのでは?
山川 昨年も開幕一軍だったんですけど、そのときは試合に出ないまま二軍落ちしましたから。それに比べると今年はちゃんと打席を与えてもらえて。自分が打てないから二軍へ落ちた。それをしっかりと受け止めることができました。とにかく打てばいい。すぐに気持ちを切り替えて、二軍で三冠王になろう、と。結局、二軍でいまは規定打席を割ってしまいましたが、それを達成できましたから(64試合、打率.333、22本塁打、64打点)。
――1年目の夏場、本誌が行ったインタビューで「二軍で圧倒的な成績を残して、自信を持っていかないとつぶされる」と一軍の印象について語っていましたが、その気持ちは変わらない?
山川 そうですね。二軍で一緒にプレーしていた同世代や年下の選手でも当然ながら一軍でプレーすると成績は下がります。例えば二軍で2割5分打っていたとしたら、一軍では1割5分くらいに。実際、いまの僕が二軍で打率.333でしたけど、一軍では.252ですから。それくらい投手のレベルも違う。それに一軍では打てなかったら二軍に落ちるというプレッシャーもあります。
――冒頭、二軍で三冠を取る気持ちで、と言っていましたが、ただ打つではなく一軍を見据えてという考えは持っていましたか。
山川 はい。例えば初球の入り球を一発でホームランにしよう、と。やっぱり一軍でも初球、2球目のストライクを取りにくる球が一番甘くなる傾向がありますから。だから、二軍ではそれを絶対にミスショットしないようにと強く思って、打席に立っていましたね。
――キャンプ前に「一、二軍で合わせて30本塁打したい」と目標を立てていました。9月15日現在、一軍で12本、二軍で22本ですから計34本とその数字はクリアしました。
山川 一軍で最低2ケタ本塁打は達成したかったので、それは良かったです。いまの打席数の中で考えれば、本塁打を打つ確率としてはいいほうかなと思いますね。
――パ・リーグの本塁打数上位3人の本塁打率(1本塁打あたりに要する打数)を見ると、1位の
日本ハム・
レアードが13.89(打数500、本塁打36)、2位の
西武・
メヒアが14.00(同476、同34)、3位の
楽天・
ウィーラーが18.48(同462、同25)で、さらに参考までに日本ハム・
大谷翔平は13.27(同292、同22)。山川選手は8.58(同103、同12)と大きく数字を上回っています。
山川 とにかく自分のリズムで、自分のスイングを心掛けた結果です。特に打席で右方向を狙うこともありません。そうするとボールに差されてしまうので。基本的には・・・
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