元ヤンキースのマリアーノ・リベラJrも指名を受ける
少し前のことになりますが、6月9日(アメリカ時間)MLBドラフトが行われました。今回のドラフトでは日本の皆さんの記憶にも新しい、前ニューヨーク・ヤンキースの「偉大なクローザー」マリアーノ・リベラの息子マリアーノ・リベラ・Ⅲ(ジュニア)が2015年のアマチュア・ドラフトでワシントン・ナショナルズより4巡目で、全体では134番目の指名を受けました。
マリアーノ・リベラ・ジュニアは、昨年2014年のドラフト時にもヤンキースより指名されていますが、その時は、29巡目という低い評価で指名されていました。彼は、アイオワ大学3年の右ピッチャーで、今シーズン14試合の先発登板、5勝7敗、防御率2.65。85イニングで113奪三振の成績を収めています。
また、平均93-95マイルの速球と80マイルのパワーカーブを投げます。速球は、最高97マイルを計測をしていました。父親が、偉大なプレーヤーだっただけに超えるのは難しいでしょうが、メジャーで投げる姿を見てみたいと思っています。ちなみに、マリアーノ・リベラ・ジュニアがナショナルズに入団した場合、ナショナルズのマイナー組織には、トニー・グウィン(元サンディエゴ・パドレス)とカル・リプケン・ジュニア(元ボルティモア・オリオールズ)の息子と偉大な「父」を持つ3選手が在籍することになります。
父を超えた選手は、バリー・ボンズとケン・グリフィぐらいでしょうか。マリアーノ・リベラ・ジュニアもプレッシャーはあると思いますが、早くメジャーデビューしてもらいたいと思っております。
さて、今回はMLBドラフト2015の全30球団の指名上位15球団の1巡目の指名選手についてお伝えしたいと思います。※2番目のアストロズの指名権は昨年のドラフトで1巡目全体1位で指名したブレイディ・エイケンと契約できなかったことによる補償です。27番目以降はFA選手へのクオリファイングオファーによる指名権です。
ブルージェイズはラッセル・
マーティンの獲得で1巡目指名権を失ったものの、メルキー・
カブレラへのクオリファイングオファーにより29番目の指名権を手にしています。マリナーズはネルソン・クルーズ、ナショナルズはマックス・シャーザー、メッツはマイケル・カダイヤーらのクオリファイングオファーを受けた選手の獲得で、1巡目指名権を失い2巡目の指名からとなっています。
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1位:ダンズビー・スワンソン(Dansby Swanson) ・指名球団:アリゾナ・ダイヤモンドバックス ・右投右打/21歳/遊撃手 ・評価:大学レベルでは最高のポジションプレイヤーとの評価は高い。元々はセカンドを守っていたが、ショートを守っていたVince Condeがヤンキースに9巡目で指名されたためショートにポジションを変え、機敏な動きと強肩を持っている。本塁打を量産するような長打力はないものの、ミドルヒッターとして期待されています。 ●
2位:アレックス・ブレグマン(Alex Bregman) ・指名球団:ヒューストン・アストロズ ・右投右打/21歳/遊撃手 ・評価:アレックス・ブレグマンは2012年ドラフトでは高校生ではベストの打者の一人として注目されていたが、今年は大学でもトップクラスの打者としての評価を受けました。スイングスピードの速さと良い選球眼を持ち、ボールに角度をつけることができるようになれば多くの長打も期待できる可能性が。身体のサイズ、持っているスキル、アグレッシブな動きによりダスティン・ペドロイア(レッドソックス)に似ている。彼の肩と守備範囲はプロでもショートを期待出来る逸材です。 ●
3位:ブレンダン・ロジャース(Brendan Rodgers) ・指名球団:コロラド・ロッキーズ ・右投右打/18歳/遊撃手 ・評価:高校生遊撃手として2012年ドラフト全体1位となったカルロス・コレイア以来の逸材との評価。パワーも兼ね備えたコンパクトなスイングがあり安定した打撃ができる。運動神経に優れ、安定したスピードと平均以上の肩を持ち、守備面では柔らかいグラブさばきができる。彼のすべての分野におけるバランスの良さはアディソン・ラッセル(2012年ドラフト全体11番目)を思わせる。 ●
4位:テイト・ディロン(Tate Dillon) ・指名球団:テキサス・レンジャーズ ・右投右打/21歳/投手 ・評価:大学生の投手としてトップクラスとの評価を受ける。92-98マイルのファーストボールに加え、鋭い曲がりを持つ86-87マイルのスライダーを持つ。まだ磨く必要があるもののカーブとチェンジアップに関しても平均以上になれる可能性を秘めています。 ●
5位:カイル・タッカー(Kyle Tucker) ・指名球団:ヒューストン・アストロズ ・右投左打/17歳/外野手 ・評価:同じくアストロズに兄のプレストン・タッカーがいて、マイナー2年間でのフルシーズンで49本塁打・197打点を記録しているが、それ以上の才能とされ、総合力でも上回るとされている選手。2015年ドラフトの高校生ではベストのスイングを持つバッターの1人と評価されている。コンスタントにボールを強くコンタクトすることができるため、痩せ気味の体格を良くすることができれば、長打とアベレージの両方が期待できるとの評価。プロではセンターから両翼に移動することになりそうだがライトを守れる肩の強さもあります。 ●
6位:タイラー・ジェイ(Tyler Jay) ・指名球団:ミネソタ・ツインズ ・左投左打/21歳/投手 ・評価:身体のサイズはあまり大きくないものの、連投しても最速で98マイル、コンスタントに93-95マイルを記録するファーストボールを投げることができる運動神経と振りの早い腕を持つ。スライダーは彼の変化球ではベストピッチでプラス評価され、他にはカーブとチェンジアップを投げることができ、チェンジアップも可能性を感じさせるものがある。球種が多彩なため先発として育成される可能性もあるが、リリーフであれば早い段階でメジャー昇格が期待できる選手です。 ●
7位:アンドリュー・ベニンテンディ(Andrew Benintendi) ・指名球団:ボストン・レッドソックス ・左投左打/21歳/外野手 ・評価:スムーズなスイングで安定してボールを強くコンタクトすることができ、遠くに運ぶことができる能力があることを見せている。国内で本塁打リーダーになるほどのパワーも持っている。優れたスピードを持つためセンターを守ることができ、盗塁も期待できる選手です。 ●
8位:カーソン・フルマー(Carson Fulmer) ・指名球団:シカゴ・ホワイトソックス ・右投右打/21歳/投手 ・評価:93-97マイルを記録するファーストボールと力のあるブレーキングボールが持ち球。チェンジアプも効果的な球種で、闘争心あふれるスタイルがコーチやスカウトから評価される。身体のサイズが大きくないため、先発よりもクローザーとしての方が良いのではないかと思います。 ●
9位:イアン・ハップ(Ian Happ) ・指名球団:シカゴ・カブス ・右投両打/21歳/外野手 ・評価:スイッチヒッターだが左打席のほうが優れている。打撃面ではバランスと選球眼がよく、パワーもあるため、長打とアベレージの両面が期待できる選手。2013年にはセカンドを守っていたこともあるため、内野手として育成されるのではないでしょうか。 ●
10位:コーネリアス・ランドルフ(Cornelius Randolph) ・指名球団:フィラデルフィア・フィリーズ ・右投左打/18歳/遊撃手 ・評価:長打とアベレージの両方を期待できる打撃面での技術とアプローチを持つ。優れたバットスピードと力強さ、ボールを待つことができる忍耐力もあると評価されています。広角にボールを打つことができ、高校生としては優れた選球眼がある。守備面ではグラブさばきは良いものの、素早さに欠ける面があるためプロではミドルインフィルダー(SS/2B)は厳しいとの見方もあり、三塁にポジションを変えることになるのではないでしょうか。 ●
11位:タイラー・スティーブンソン(Tyler Stephenson) ・指名球団:シンシナティ・レッズ ・右投左打/18歳/捕手 ・評価:今年は捕手の有力な選手が少ないこともあり注目を集めました。昨年の夏には投手として90マイルを投げたこともある強肩。 力強い腕とグラブさばきが、捕手としての質の高い捕球技術とスローイングを生み出している。この力強さはバッティングにおいてはバットスピードに活かされていて、パワーもある。プロレベルにおいてはスイングが大きいため、コンタクトという面で苦労するのではないでしょうか。体格や持っている技術によりオリオールズのマット・ウィータースに似ています。 ●
12位:ジョシュ・ネイラー(Josh Naylor) ・指名球団:マイアミ・マーリンズ ・左投左打/17歳/遊撃手 ・評価:力強く、かつ安定したコンタクトができる打者で、打席でのアプローチがより洗練されることでより素晴らしくなるとされる。強力なパワーをもちホームランを期待できる長距離ヒッターになる可能性を持つ。問題は平均以下の走力と守備面での不安。守備面ではまり適したポジションがないとされるものの、1塁が一番適しているのではないかとの声も。守備面での不安はあるもののパワーが優れているため上位評価になったのではないでしょうか。 ●
13位:ギャレット・ウィットレイ(Garret Whitley) ・指名球団:タンパベイ・レイズ ・右投右打/18歳/外野手 ・評価:高校生としては優れた打席でのアプローチがあり、力強さとバットスピードの速さにより平均以上のパワーを持っている。しかし、一番高く評価されるのはスピードです。広い守備範囲位があるためセンターを守ることができ、肩も優れている。 ●
14位:コルビー・アラード(Kolby Allard) ・指名球団:アトランタ・ブレーブス ・左投左打/17歳/投手 ・評価:昨夏にメキシコで開催されたパンアメリカンチャンピオンシップに米国代表として出場し29人から17個の三振を奪う圧巻の投球を見せました。しかし、その後の故障によりその時のパフォーマンスは発揮できない状態が続いました。96マイルに達するファーストボールは高評価され、カーブも曲がりが強い投手です。 ●
15位:トレント・クラーク(Trent Clark) ・指名球団:ミルウォーキー・ブリュワーズ ・左投左打/21歳/外野手 ・評価:昨夏にメキシコで開催されたパンアメリカンチャンピオンシップの米国代表として攻撃面で大きな貢献(8試合:打率.566/打点20)。ゴルフグリップという変則的な握りでボールを強く叩くことができ、バットスピードは平均以上。走塁センスとスピードに優れる。守備力はセンターとしては物足りない面があるものの、両翼には十分で、そこを守ることを許されるだけの攻撃力も期待できると思います。 この中から、何人の選手がメジャーの大舞台でプレーが出来るのか?今後を注目していきたいです。 写真=Getty Images 著者PROFILE 1950年代生まれ。現役を引退後、MLBスカウトに転身。全米だけではなく日本球界にも太いパイプを築き、スカウティング活動に余念がない。