
マリナーズからヤンキースへ移籍したダスティン・アクリー。内外野を守れるユーティリティープレイヤーだ(Getty Images)
メジャー昇格後は伸び悩んでいるダスティン・アクリー
デビッド・プライス争奪戦に最後まで名前が上がり続けたヤンキースですが、同地区のライバルであるブルージェイズとの争奪戦に敗れました。
そしてローテーション投手のマイケル・ピネダがDL(故障者リスト)に入る事態になりました。そこでトレードで獲得したのはマリナーズのダスティン・アクリー(内野手・外野手)でした。
このダスティン・アクリーは2009年ドラフトでナショナルズのスティーブン・ストラスバーグに次ぐ全体2番目、同じく1巡目のエンゼルスのマイク・トラウトよりも23番も早く指名されてマリナーズに入団した選手です。
プロ入り後はプロスペクトランキングではMLB全体でトップ15に入るなど高い評価を受け続け、3Aでは打率.303/出塁率.401/長打率.472という素晴らしい成績を残し昇格しましたが、その後は完全に伸び悩んでしまい今季も打率.215/本塁打6/打点19/出塁率.270/長打率.366/OPS.635と低迷していました。
ヤンキースがアクリーを獲得した意味とは?
ヤンキースは今回のトレードでラモン・
フローレス(OF)、ホセ・
ラミレス(RP)の2人を交換要員として放出しています。この2人はいずれもメジャーデビューは果たしているものの、目立った成績はなく定着するには至っていない選手です。なぜヤンキースは外野手のダスティン・アクリーを獲得したのか? ということにファンは気になるところだと思いますが…現在のヤンキースの外野陣はエルズベリー、ガードナー、
ベルトラン、ヤングに、
ジョーンズと揃っているため、外野手の獲得は優先順位が高いものではありません。
しかし、ここ数年は外野を守っているダスティン・アクリーですが、元々のポジションはセカンドであるため、ヤンキースは外野のバックアップとしながら、元々のポジションである二塁で起用するのだろうという見方が強くなっています。今季、ヤンキースの二塁のポジションに関してはスティーブン・ドリューがメインで守っていましたが、とても満足のできるほどの成績ではありません。ダスティン・アクリーの打撃成績は打率.215/出塁率.270/長打率.366でOPS.635、スティーブン・ドリューは本塁打は13本と多いものの、打率.192/出塁率.265/長打率.380でOPS.645となっています。
ただ、ダスティン・アクリーは投手有利のセーフコフィールドを本拠地とした数字ですが、ヤンキースタジアムは左打者が有利な構造になっていますので、成績の向上が期待出来るのではないでしょうか。またOPSで見ればアクリーとドリューに大差がないのですが、ブレンダン・ライアンが右打ちであるのに対して、ドリューとジョーンズはアクリーと同じ左打ちとなりますので、ヤンキースがどのような決断をするのか注目をしております。
また、プロスペクトして期待されてきたロバート・レフスナイダーを4試合ほど試したものの打率.167/本塁打1/打点2/出塁率.167/長打率.417/OPS.583という成績に終わりマイナーに降格しています。ダスティン・アクリーを獲得したことで、このレフスナイダーを交換要員として、さらなる補強に動くのではないかと予想されています。
当初はブルペンをさらに強化するためにパドレスのクレイグ・キンブレル、もしくはレッズのアロルディス・チャップマンを狙うのではないかとの予想がありました。しかし、マイケル・ピネダの故障離脱により、方針転換を迫られる可能性がありそうです。
ヤンキースはクリス・カプアーノをDFAとしたため、先発ローテは
田中将大、ノバ、イオバルディ、CC.サバシアが残る状態で絶対に先発投手が足りません。現状ではブライアン・ミッチェルか、トッププロスペクトのルイス・セベリーノを昇格させる可能性があるようですが、シーズンオフと同様にリリーフを重視した補強をするのか、それとも先発ローテの補強に動くのか、プレーオフに向けた補強でヤンキースの次の一手に注目したいと思います。
著者PROFILE 1950年代生まれ。現役を引退後、MLBスカウトに転身。全米だけではなく日本球界にも太いパイプを築き、スカウティング活動に余念がない。