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岩隈投手のノーヒットノーラン達成があったものの、チームとして波に乗れないマリナーズ。チーム改革のための大胆な一手が求められる(Getty Images)
主力3人に偏りが見られるチームの年棒構成
今シーズン
岩隈久志投手がノーヒットノーランを達成し、シーズン前は2001年以来のポストシーズン進出が期待されたものの、シーズン序盤からつまずき、シーズンオフとシーズン中の補強はネルソン・クルーズを除いて機能せず、9月28日現在、ア・リーグ西地区位4位と低迷しているマリナーズです。
今回このマリナーズについてお伝えしたいと思います。そのマリナーズの低迷は何が原因なのでしょうか?
マリナーズは年俸総額が1億2500万ドル超なのですが、その内訳は
フェリックス・
ヘルナンデスが2400万ドル、ロビンソン・カノが2400万ドル、ネルソン・クルーズが1400万ドルで、合計6200万ドルとなります。この3人の年俸がチームのおおよそ50%を占めていて、さらにカイル・シーガーとセス・
スミスの2人で1400万ドルとなっていることが原因ではないでしょうか。
その主力選手を中心に2016年に勝負をかけるのか? それともチームを解体して立て直していくのかという選択をしなくてはいけないと私は思います。
ワイルドカードが2枠になったことにより、ポストシーズンへのハードルが低くなった為、2016年にチャレンジすることが可能ではないか思っております。
ファーム組織の改革が必要
ファーム組織からメジャーに上がれる選手が少ないのは非常に大きな問題です。他のチームはファーム組織の育成がとてもうまくいっており、マリナーズは早急にファーム組織の改革に着手する必要があると思います。
またマリナーズのエース、キングことフェリックス・ヘルナンデスをトレードに出すべきではないでしょうか。現在はどのチームもプロスペクト重視で、フェリックス・ヘルナンデスをトレードに出したとしても、4年1億300万ドルの契約が残っていることもあり、多くの見返りを手にできない可能性がありますが、彼のパフォーマンスを考えるとトッププロスペクトを出しても良いというチームが1つ2つ現れても不思議ではないと思います。
フェリックス・ヘルナンデスは元々2013年2月の契約延長の時にトレード拒否権を設定していたのですが、先月に10&5(10年のメジャー在籍で直近5年間が同一チームに所属)の条件を満たしたため、全球団へのトレード拒否権を獲得しています。
このフェリックス・ヘルナンデスはシアトルを愛していて、マリナーズのために投げ続けたいことを表明しており、彼が簡単にトレードに応じない可能性が高いが、競争心の強い選手でも来年4月には30歳になるので優勝を狙えるチームへの移籍を受け入れる可能性もなくはなないとしています。
フェリックス・ヘルナンデスをトレードすることは、プロスペクトを獲得するだけでなく、年俸総額に余裕ができれば、外野手と一塁手、そして岩隈と再契約出来ても、もう一人は必要な先発ローテの補強の資金にも回すことが出来るのではないかと私は思います。
マリナーズの象徴ともいえるフェルナンデスのトレードは、ファンの多くが望まないものではありますが、ファームの状況を考えると、選択肢として考える必要があるのではないかでしょうか。
2009年以降のマリナーズのドラフト1巡目は以下のとおりとなっています。
* 2009年:ダスティン・アクリー(1巡目全体2位) * 2009年:ニック・フランクリン(1巡目全体27位) * 2010年:タイファン・ウォーカー(1巡目全体43位) * 2011年:ダニー・ハルツェン(1巡目全体2位) * 2012年:マイク・ズニーノ(1巡目全体3位) * 2013年:D.J.ピーターソン(1巡目全体12位) * 2014年:アレックス・ジャクソン(1巡目全体6位) タイファン・ウォーカーも悪くはないのですが、1年目から鮮烈な活躍をしたマーリンズの
ホセ・フェルナンデス、メッツのジェイコブ・デグロム、マット・ハービーのような派手さがないのは事実です。ダニー・ハルツェンは手術からの復帰で、ようやく3Aで3試合8イニング(防御率3.38)を投げたにとどまっています。
現在のマリナーズのNo.1プロスペクトであるアレックス・ジャクソンは1Aで打率.157/出塁率.240/長打率.213と低迷し、まだまだ時間がかかりそうです。D.J.ピーターソンは昨シーズンに1Aと2Aで打率.297/本塁打31/打点111/出塁率.360/長打率.552 /OPS.912と活躍し、今季のメジャー昇格も期待されていたのですが、2Aの93試合で打率.223/出塁率.290/長打率.346、3Aでの4試合で打率.214/出塁率.214/長打率.286と低迷し、今後どうなるのか見えてこない状態となっています。
1巡目全体3番目指名のマイク・ズニーノは打撃不振に加えて、配球の問題を指摘されて3Aに降格し、ダスティン・アクリーとニック・フランクリンは大きな見返りのないトレードで放出されています。
先に上げられていたアストロズ、ツインズ、レンジャーズはファームの充実度が高く評価され続け、プロスペクト100にも多くの選手がランクされていましたが、それらの選手が開花しつつありますし、まだファームにも残っています。ですが、残念ながらマリナーズにはその要素が見当たりません。
後はいかに能力のあるGMがチームを再建できるか? 新しいGM手腕に期待をしたいです。
著者PROFILE 1950年代生まれ。現役を引退後、MLBスカウトに転身。全米だけではなく日本球界にも太いパイプを築き、スカウティング活動に余念がない。