巨人は3月25日からのヤクルトとの3連戦に3連勝した。長いシーズンのプロ野球である。いまから開幕3連勝に一喜一憂するのは時期尚早だが、この3連勝を見る限り、開幕前に懸念されていた問題点が解決されているように見受けられる。 
開幕から四番として存在感を発揮しているギャレット。今シーズンの巨人打線のキーマンになりそうだ
18年ぶりの開幕カード3連勝
3月25日の開幕のヤクルト戦(東京ドーム)は7回まで無失点の
菅野智之の好投で勝ち、第2戦も10得点の猛打で連勝。続く第3戦は先制しながら6回表に追いつかれ、8回表に勝ち越されたが、その裏に四番に座ったギャレットの2ランで逆転勝ち。巨人にとって開幕3連勝は98年以来、18年ぶりのことであった。
巨人は50年以降のセ・リーグでは開幕戦には去年まで35勝28敗3分けで勝率.556と、決して無敵の強さを発揮しているわけではない。あの65年から73年までのV9時代でも開幕戦は2勝7敗だった。66年から71年まで開幕戦に6連敗していた。
21世紀に入っても2002年からは4連敗、08、09年は連敗しているが、10年以降は5勝1敗と開幕戦に弱い巨人は昔話になろうとしている。
ただし、近年は第2戦に弱い。95年以降は第2戦に3勝17敗1分けで.150とあって1、2戦の連勝ができない。しかし、今シーズンは連勝の上に、第3戦でも鮮やかな逆転勝ちで50年以降では12度目の開幕3連勝が実現した。
過去の11度の最終結果は優勝が6度、2位が3度で3位が2度。開幕3試合目で予想するのは早過ぎるにしても、かなり楽しみなシーズンになりそうである。
そんな開幕3連勝に大きく貢献したのが新外国人のギャレットだ。パイレーツ時代の09、10年には本塁打を21本、12年には12本打っていたギャレットはメジャー通算122本。しかし、昨年所属した
ヤンキースでは先発メンバーで四番に起用されたことはなく、144打数31安打の打率.216で本塁打も5本。それだけに巨人入りが報じられても全幅の信頼は寄せられなかった。
しかし、オープン戦では19試合すべてで四番を打って打率.283で、巨人の選手で唯一の2本塁打。そして開幕3試合目の鮮やかな逆転2ランだ。昨年は外国人打者に頭を痛めていた巨人も今シーズンはその悩みから解放されそうである。
14年もロペス、
アンダーソンでスタートした巨人の外国人打者で、シーズン中盤からキューバの大砲セペダを加入させた。そのセペダが52試合で6本塁打を打ったことで2年目の15年は任せられると考えたのか、この14年に134試合と3人の中で一番多く出場していたロペスを
DeNAに放出したが、これが完全に裏目に出た。
セペダは21打数0安打。アンダーソンも休みがちとあって巨人は開幕してからフランシスコ、カステヤーノスの2人を補強したが、情報網ゼロの巨人を暴露しただけで終わった。来日3年目のアンダーソンは7本塁打を含む.252だったが、期待したセペダは本塁打どころか21打数0安打であり、途中で補強した2人も合わせて38打数5安打で.132だ。
外国人4人合わせて打率.218で、本塁打はアンダーソンの7本が巨人の外国人のすべて。DeNAに移籍したロペスが15年は140試合で打率.291、25本塁打、73打点を挙げていただけに結果を残せる外国人打者と縁の薄いチームであるのを痛感させられた。
しかし、今年の2人は安心できそうである。ギャレットは開幕第3戦の逆転2ランに続いて第4戦でも第2号。クルーズは昨年まで2年間に
ロッテで259試合に出場し、打率.247で32本塁打。2人とも規定打席をクリアするのは間違いあるまい。もし巨人で外国人2人が規定打席に達すれば、04年のローズ(.287、45本塁打)と
ペタジーニ(.290、29本塁打)以来、13年ぶりだ。
小林誠司は正捕手になれるか

奮闘する3年目の小林誠司。このまま阿部から正捕手の座を奪えるかにも注目が集まる
3年目の小林誠司が成長し、開幕3試合すべてで全回出場している。3月25日の開幕戦では1対0で迎えた7回裏に勝負を決定づける右中間二塁打、26日には4打数3安打2打点、27日にも1安打して開幕3試合連続安打だ。
ルーキーだった14年には
阿部慎之助が健在で開幕シリーズで打席に立つ機会はなかったが、今年同様に阿部がファーム落ちして迎えた15年は、開幕1、2戦にはスタメンでマスクをかぶったが、3戦目にはベテランの
相川亮二に出番を譲らなければならなかった。
それが今年は開幕3連戦にフル出場である。巨人が開幕からの3試合に1人の捕手で通したのは不動の四番.阿部であった12年以来、4年ぶりである。阿部は13年の打率.296、32本塁打から14年は.248で19本塁打と大きく成績を落としており、15年はファーム落ちして開幕戦を迎えなければならなかった。
結局、阿部は捕手では25試合にしか先発できず、阿部以外の捕手が4人もスタメンに起用されなければならなかった。ヤクルトから移籍の相川は4本塁打を含む.313と打っていたが、残る3人の成績をトータルすると、285打数64安打で.225とあってはその後釜が気になっていた。
14年入団の小林は2年間で133試合に.237で4本塁打とあって今年も全幅の信頼は置けなかった。オープン戦で阿部が15打数2安打とあって、いやでも小林に頼らなくてはならなかったが、いざ開幕すると期待に応えてくれた。これがどこまで続くかが、今シーズンの巨人の大きなカギとなりそうである。
3試合で野手のバントはゼロ、積極采配はいつまで続くか
開幕3連戦で巨人の野手が記録した送りバントはゼロ(投手で2つあり)というのも特筆すべきことだ。いまや送りバントは日本の野球と切っても切り離せない。プロ野球は12球団あるが、12球団がすべてこのバント策にこだわっている。昨年のパ・リーグで多い順に並べると
オリックス115、
ソフトバンク、ロッテが109、
楽天105、
西武、
日本ハムが104犠打である。セ・リーグでも
阪神138、DeNA137、
広島135、巨人116、
中日114、ヤクルト104と全球団が3ケタの犠打数だ。
日本とのメジャーの一番大きな差はこのバントへのこだわりだ。メジャーではわざわざ相手に1アウトを与えるバント策は全然、はやっていない。日本では昨年セ・リーグでは429試合(両チーム合計)で744犠打。1試合平均は1.73、パ・リーグも429試合で646犠打で平均1.51犠打だ。
一方、ナ・リーグは1215試合で747犠打であるから1試合平均0.61であり、DH制のア・リーグでは1214試合で453犠打とあって1試合平均で0.37犠打である。同じDH制のパ・リーグはア・リーグの4倍の犠打を記録している計算になる。
こんな結果があるのに、日本では弱いチームも強いチームも同じようにバント策にこだわっているのが現状だ。しかし、巨人の
高橋由伸監督は開幕のヤクルト3連戦で野手にバントのサインを出したのは一度だけ。第3戦で1対1の同点で迎えた6回裏に先頭バッターのクルーズが安打で出塁し、続く
中井大介のカウント1ストライクからの2球目のときである。このときファウルでカウント2ストライクになると、バントのサインは撤回され、結局この3連戦は野手の犠打ゼロに終わった。13年は開幕の広島3連戦で4犠打していた。今年のこの積極策がどこまで続くか。
巨人はさらに続く3月29日のDeNA戦にも勝って開幕4連勝。この試合にギャレット、クルーズはそれぞれ2号を放つアベックホームラン。小林はこの試合にも全回出場し、巨人は開幕から4試合に小林が4試合フル出場。4試合目も送りバントは企てていない。
この高橋監督の采配がどこまで続き、巨人の快進撃は続くのか。注目していきたい。