近年の投手の打力が貧弱なことはこの「記録の手帳」でも再三取り挙げて指摘しているが、今シーズンは安打どころか、外野フライで三塁走者をかえした投手がいったい何人いるかご存知だろうか?答えはゼロである。DH制のパ・リーグなら仕方ないが、投手もちゃんとバッターボックスに立つセ・リーグの投手たちは、この現状をどう思っているのだろうか。今号では「犠飛」にまつわる記録集をお届けする。(記録は8月22日現在) 
現代の「打てない投手」の中で非凡な力を発揮している巨人の菅野智之
過去に11本の犠飛を打った金田正一
全日程の4分の3を消化した時点で投手の犠牲フライがゼロとは驚きだが、昨年も年間でセ・リーグの投手が打った犠飛は4本であった。巨人の菅野智之と
桜井俊貴が各1本、
中日の
若松駿太と
阪神の
能見篤史の4人である。
菅野は9月14日の中日戦[ナゴヤドーム]の3回、一死三塁で回ってきたときに右翼へ飛球を打ち、三塁走者をかえして先制点をたたき出した。菅野がプロ入り4年目で初めて犠飛でマークした打点であった。
桜井は昨年開幕直後の3月30日の
DeNA戦[横浜]に先発で初登板した。3回に回ってきたプロ入り初打席では三振したが、5回に一死三塁で回ってきた2打席目には右飛を打って三塁走者の
村田修一をかえした。だが投手としては4回1/3でKOされ、その後はふたたび登板することはなかった。
若松の犠飛は4月5日のDeNA戦[ナゴヤドーム]で、3回裏に先頭の杉山翔太が三塁打で出た後、若松が右飛を打ち、
杉山翔大をかえして記録されたものだ。これもプロ入り4年目で初の犠飛であった。能見の犠飛は5月24日の
ヤクルト戦[神宮]、3回の一死満塁で打ったもの。これもプロ12年目で初めて記録した犠飛であった。
昨年登板した投手の中で通算2本犠飛を打っていたのは、25年のキャリアを終えた
三浦大輔(DeNA)と実動14年目だった
山井大介(中日)、実働5年の
由規(ヤクルト)の3人であった。
普段はあまり気にも留めない投手の犠飛だが、調べてみるとそれなりに価値がある記録なのが分かる。その中で1本でも打てば貴重に思えるのに・・・
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