
戦力が整っているソフトバンクが優勝に最も近いと思うのだが、その一番の要因は、勝つ術を知っているサファテが抑えにいることやな/写真=湯浅芳明
3位のチームが貯金「20」ホンマ上下の差があり過ぎや
真夏の暑さ=甲子園=高校球児。そう夏の甲子園大会です。プロ野球だけでなく、オレは時間の許す限り、高校野球を観戦している。そこに生まれる筋書きのないドラマ。思わず泣いてしまうほど、彼らの姿はピュアである。涙が流れるほどの感動……。やっぱり甲子園はエエよ。高校野球はエエんよねえ。
早実の清宮(
清宮幸太郎)のようなバッターはいないけれど、それにしても今大会、ホームラン量産やね。投手のレベルなのか、バッターの質なのか。そのあたりは判断しかねるが、それにしてもこれほどホームランが出るとは……。野球がというか、高校野球も大きく変化していっているということなんやろう。
監督時代、プロ目線でどうしても球児を追っていたわ。打つ、投げる、守る、走る。これらの動き、要素の中で、光を放つ選手に目がいく。一芸に秀でるというか、特徴のある選手を注目して見る。今年はまだボンヤリとした感じだけど、これからの戦いで、そんな選手が出現することを期待したいものです。
そんな暑い夏、お盆も熱くなったわね。そらそうよ。ワールドワイドの戦いに胸躍ったもんね。世界陸上に、ゴルフのメジャー大会、全米プロ。時差の関係で、テレビ観戦は夜中から朝方やったけど、オレは寝不足になるほど見ていた。やっぱり世界的なスポーツの戦いはオモシロイし、スゴい。特にゴルフの松山英樹。彼はホンマ、たいしたもんよ。ファイナルラウンドの後半にメジャーで単独トップに立った。優勝はできなかったけど、この事実、そら近いうちにメジャーを勝てる……と予感させるもんやった。ホンマ、胸ワクワクの1週間やった。
そんな折、例のヤツからの連絡よ。先週は合併号で1週間飛んだので、約2週間ぶりに聞く声よ。そう編集担当のS君。いきなり「あの〜〜、コ・ン・パのことなんですが……」と伝えてきた。エッ、コンパってオレとそんな約束したか? それにコンパや合コンってオレには関係ないやろ、と黙っているとS君「コ・ン・パではなく“混パ”です」やて。ハイハイ了解しました。やっと話が軌道に乗って、終盤戦に入った混戦パ・リーグをテーマにするということで落着。オレなりの見立てを書いていくことにした。
広島独走のセ・リーグと違い、パは3球団の優勝争いよ。まあ、クライマックスシリーズは、ソフトバンク、
楽天、
西武の3球団で確定的となっているが、果たしてどこがリーグ優勝するのか。そもそも今季のパ・リーグはホンマ、偏った戦いぶりになっている。
というのも現在は3位の西武やけど、13連勝するなどで、貯金は「20」超えよ。3位のチームが貯金20やで。これだけの貯金があれば普通、優勝しても不思議ではないのに3位よ。いかにAクラスとBクラスの差が大きいか、ホンマ、数字が物語っているわね。
一番ラクな気分で戦えているのは西武
さて、S君の要望どおり、どこが優勝するのか……と聞かれれば、やはりソフトバンクやろな。この時期に、わずかな差で逃げているチームというのは、ホンマ、しんどいわけよね。何度も何度も書いてきたけど、2008年の
阪神がその典型よ。追われるモノのつらさというか、肉体的な疲れとともに、内面の疲労が相当なものになる。追い詰められてくると、それが一層襲ってくるわけで、オレはそれを痛感している。
しかしソフトバンクの場合、はね返せるだけの戦力がある。どんな展開になっても、勝ちに結びつけられる力というのか、形が備わっているのが最大の強みなんよね。
柳田(
柳田悠岐)、
デスパイネ、松田(
松田宣浩)らに代表される打力がクローズアップされるけど、ディフェンスが強いのがソフトバンクよ。特にクローザーよ。ここがライバル2球団に比べ、強固やね。この原稿を書いている時点でシーズン40セーブを記録したサファテやけど、これで3年連続の40セーブ超えとなった。逃げ切れる術を知っているし“勝つ形”を持っているのはソフトバンク。これからは、いかに確実に勝ちを拾っていけるか……がポイントやから、その点でソフトバンクが有利や。
追う楽天やけど、ここまでの戦いぶりは見事なもんやった。下馬評は低かったけど、それを覆す戦いは、ワクワクさせるもんやった。でも故障者が続出するにつれ、勢いに陰りが見え始め、ホンマ、今が正念場。ここをしのげば、最後までソフトバンクと競り合えると見ている。
そこでポイントになるのがゲーム消化数よね。現時点でソフトバンクより9試合多く試合を残している。例えばこの9試合を7勝2敗で乗り切れば、5つの貯金を上積みし、ソフトバンクと同等、それ以上になるのだけれど、日程がどう組み込まれているのか。ここが楽天のポイントになるわけよ。
故障者も復帰し始めているけど、ソフトバンクとの9試合の消化の差。これが過密日程となって楽天にのしかかってくることも、十分に考えられる。さらにクライマックスシリーズへの影響も懸念され、戦力以外のところで楽天は戦わないといけなくなるんよね。
その意味で、最もラクに戦えているのは西武よ。まずCS権は確保したと言っていい。となれば、残りは“上”を向いていくだけよ。現実に13連勝したチームよ。それだけの力があるということやし、もう一度、大きな波を起こすことができれば、一気に差が詰まる。ただ上に2チームいるし、両方ぶっこ抜くというのは難しいことは難しいけどね。
08年の例を出せば、あのときの
巨人のように、西武が大マクリできるか。打力のチームだけに、勢いがつけばガツンといけるチームカラーだし、巨人の再現を密かに期待するのも、面白いと思うね。(デイリースポーツ評論家)
PROFILE 岡田彰布/おかだ・あきのぶ●1957年11月25日生まれ。大阪府出身。北陽高では1年夏の甲子園に出場し、早大では東京六大学リーグ歴代1位の打率(.379)と打点(81)をマーク。80年ドラフト1位で阪神に入団。1年目からレギュラーとして新人王を獲得。21年ぶりのリーグ優勝、日本一を達成した85年は五番打者としてベストナイン、ゴールデン・グラブ賞。94年に
オリックスへ移籍し、95年限りで現役引退。通算1639試合、打率.277、247本塁打、836打点。オリックスで2年間指導の後、98年に阪神復帰。二軍監督などを経て、04年から08年まで監督を務め、05年はリーグ優勝に導いた。09年から12年はオリックスの監督として指揮を執り、13年からは野球解説者として精力的に活動している。