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岡田彰布コラム

岡田彰布コラム「エンゼルスの大谷は楽しんでいるが、同期の阪神・藤浪は二軍落ち。一軍で立て直す方法でもよかったのでは?」

 

二軍落ちした藤浪だが、オレは一軍で立て直す方法を見つけてもよかったと思うけどな。上げ時や調子を探るのが非常に難しいと思うよ。あとは開幕投手のプライドで一軍に帰ってきてほしいな[写真=石井愛子]


野球を楽しむことがオレは理解できないんよ


 日本時間4月27日、アメリカから快挙の報が……。ハイ、大谷(大谷翔平)のことです、ホームランレーストップにいる選手が、投手としてマウンドに立つ。これがナント、100年ぶりのことらしい。前例はベーブ・ルース。大谷はついにベーブ・ルース級のスーパー・ヒーローになった!! ということなんだろう。そして、先発した大谷は打っても2打点。今季初勝利を飾ったのである。

 もう漫画の世界よ。メジャー・リーグのファンはホンマ、ビックリしているに違いない。リアル二刀流は“本物”になった。日本では大谷の二刀流は当たり前のことだが、世界では違う。こんな選手、見たことない!! 日本人としてホンマ、誇らしい気持ちにさせてくれる。

 何より大谷の表情がいい。迷いはまったくない。不安もない。キラキラとした顔が今の充実度をストレートに表している。「楽しんで」と大谷はよく口にする。大谷だけでなく、今の若者は「楽しむ」ことを目的にしている。この感覚が、オレには分からない。オレが現役のころ、先輩も後輩も、ゲームを楽しんでいる選手は一人もいなかった。逆に楽しんでいたとするなら、先輩にシバかれたはずよ。常に必死で、悲壮感を漂わせて戦っていた。投手でも楽しんで投げていた人間、オレは見たことも、聞いたこともない。

 楽しんで投げ、楽しんで打ってスゴい結果を残す。言うことなしです。これから先、どんなことで、世界を驚かすのか。ホンマに大谷の今後が楽しみで仕方ない。

 その大谷と高校時代、双璧といわれた阪神の藤浪(藤浪晋太郎)が、再び苦しみの中にいる。コントロールが定まらず、死球、四球を連発した登板が続き、矢野(矢野燿大)監督は決断した。二軍降格である。

 極めて珍しい処遇だといえる。今シーズン開幕して1カ月が過ぎた。1カ月前、藤浪は阪神のオープニング・ピッチャーに指名された。それが故障ではなく、ただただ不穏な投球が続いての二軍落ちよ。こんなに早く開幕投手が一軍から消える……なんて、オレ自身記憶がない。

 ただ、この判断は果たして適切なものだったのか? 正直に言うと、オレは二軍に行かす必要はない……と思っている。とにかく藤浪のことを語るのは、ホンマ難しいわ。ウ……ン、言いようのない選手ということなんかな。備えている能力は図抜けている。これは誰もが認めているところだけど、ここ4、5年、それを表現することができず、同じことの繰り返しで過ごしてきた。しかし昨年の後半から復活の兆しを見せ、矢野監督は期待のメッセージを開幕投手指名で伝えた。これは藤浪自身、ズドンと胸に刺さったはずよ。それがここまで2勝をマークしたという結果につながった。

 ところがここにきて、藤浪に迷いが表れた。今シーズン春季キャンプからずっと振りかぶって投げると決めたにもかかわらず、二軍落ちの判断に至った登板ではセットポジションに切り替えていた。これは一体何なんやろな。藤浪自身でチェンジしたのだろうが、これを投手コーチや監督はどう見ていたのか。

 ここがポイントやと、オレは感じている。投手コーチが、タイムリーな助言、指導をしなければならないとき、それをしていたかどうか。藤浪の考えで、好きにさせていたのなら、これは違う……と、オレは考えるわけよ。藤浪という投手は、チームにとって特別な存在なんだろう。そんな投手がすでに2勝しているんよ。なんだかんだといっても、結果はついてきている。しかも明らかに内容が低下したことによって、ハイ、二軍へ、という投手ではないということは確かよ。

藤浪の二軍落ちで首脳陣の手腕が問われる


 仮にオレなら……と勝手なことを書かせてもらうが、藤浪を二軍に落とすことはしない。一軍で立て直す方策を見つける。投手コーチの重大な責務でもあるし、藤浪自身も苦しい中で、またもがくに違いない。そんな機会が失われた。二軍落ちし、預かる二軍投手コーチはどう指導していくのか。こんなん、ホンマ、難しいことよ。

 さらに言うと、藤浪の内面が心配でならない。張り詰めていたものが解かれる。そんなことになってもらいたくないけど、今シーズン、藤浪は一軍に戻ってこないかも……とまで心配してしまうのだ。

 幸いチームは好調を維持している。藤浪の代わりとして、今回はチェンが指名された。それなりのピッチングができる実績はあるし、チームとしては大きなマイナス点にはならないだろう。ただガンケルチェン・ウェイン、さらにアルカンタラと、野手同様外国人投手陣も枠の問題が出てくる。それを考えると、ベンチのやりくりがポイントになるのだが、それもこれも藤浪の二軍落ちに起因しているわけよね。

 同期の大谷がメジャーで活躍している。それをどんな思いで藤浪は見ているのだろうか。そんなことを考える余裕はない。いつどんな形で一軍に戻ってくるのか。なるべくいい時期に上がってくることが必要である。なにせ今シーズンの開幕投手なんだ。それを胸に刻んで、戻ってきてほしいものだ。(デイリースポーツ評論家)

PROFILE
岡田彰布/おかだ・あきのぶ●1957年11月25日生まれ。大阪府出身。北陽高では1年夏の甲子園に出場し、早大では東京六大学リーグ歴代1位の打率(.379)と打点(81)をマーク。80年ドラフト1位で阪神に入団。1年目からレギュラーとして新人王を獲得。21年ぶりのリーグ優勝、日本一を達成した85年は五番打者としてベストナイン、ゴールデン・グラブ賞。94年にオリックスへ移籍し、95年限りで現役引退。通算1639試合、打率.277、247本塁打、836打点。オリックスで2年間指導の後、98年に阪神復帰。二軍監督などを経て、04年から08年まで監督を務め、05年はリーグ優勝に導いた。10年から12年はオリックスの監督として指揮を執り、13年からは野球解説者として精力的に活動している。
岡田彰布のそらそうよ

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選手・監督してプロ野球で大きな輝きを放った岡田彰布の連載コラム。岡田節がプロ野球界に炸裂。

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