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岡田彰布コラム

岡田彰布コラム「オミクロン株により感染者急増。なかなか収束しない中で今季は12回まで試合ができる。阪神には有利になるかもな」

 

昨年77勝を挙げ、12球団で一番多く勝った阪神は9回打ち切りによる“勝率の妙”で2位に甘んじた。今季は12回の延長ありに戻り力勝負となる。これは投手力のいい阪神には有利になるやろな[写真=BBM]


監督の仕事=優勝を目指す 必然的に選手の年俸は上がる


 いきなりですが「監督の仕事」とは? をあらためて考えることがある。もちろんチームを預かった以上、優勝に導くこと。そして常勝チームを作り、常に優勝争いできる力を維持すること。こういうことがまず求められる。さらにチームの事情によって、基礎、土台の構築。近い将来を見据えたチーム作りも監督の使命といったケースもある。

 オレは阪神、オリックスの合計8年の監督生活で、いつも強いチームにすることだけに注力した。その一方で監督として、選手に対して、どういうことをしてやれるのか。それを考えることも多かった。そこでの結論は……、選手の待遇を向上させること。これも現場監督の大きな役割と決めた。

 今週号の週べ特集はマネーに関することとか。そこで監督がどうかかわるのか、担当のS君が問い合わせてきたので、それを記すことにした。待遇=年俸ということなら、監督から「〇〇選手の年俸を考えてもらいたい」なんてことにはならない。あくまで年俸を決めるのは球団の査定担当の評価がベースにあるからで、監督がそこまで介入することはない。

 どこのチームもそうだと思うが、試合が行われたあと、査定担当とヘッドコーチ(阪神、オリックスではそうだった)が確認作業を行う。作戦の中で起きたミスだったのか、それとも忠実に実践したゆえのプレーだったのか。本当に細かいところまで確認が行われ、それが各選手の査定となり、積み上がった結果が年俸に反映される。そういうシステムはどこも変わりないと思う。

 先に書いた監督の仕事でいえば、例えばある選手の記録がかかった状況では、それを実現させてやることもひとつ。タイトル争いでもそう。オレが覚えているのは藤川球児のケースやった。セーブのタイトル争いでの試合。8回裏で差は3点。ここでチャンスがきて打席に代打・小宮山(小宮山慎二)。オレは小宮山に指示したのが「三振しろ!」やった。

 ここでタイムリーなどが出て4点差以上になれば、9回表を抑えてもセーブはつかない。だから三振……ということになったのだが、もちろん査定担当には、この事情を伝え、小宮山のマイナス点にはならないことが確認される。逆に少しでもプラス査定にしてもらい、球児もセーブを増やし、そういうことも監督として、選手にできることのひとつと思ってきた。

 S君、こんな説明でよかったですか? と言いながら、いよいよキャンプインを待つ。ところが世の中、またまたとんでもないことになってきた。コロナ禍の中、迎える3度目の春……。収束の気配が消え、新たな変異株、オミクロン株の猛威にプロ球界も飲み込まれていく。

延長12回制になれば必然的に力勝負になる


 全国で自主トレに励む選手たちの中、感染者が続発している。キャンプ前でよかった? 違います。やはり影響は大きい。いまはキャンプに入れば、すぐに実戦が待っている。キャンプで体作りといった時代はもうない。すぐに実戦に即応できるように自主トレで仕上げる。これが球界の常識になっている。だからこの重要な時期に何日かの空白を作ることは、明らかに後退を意味するのだ。キャンプへの影響が少ないことを願うしかない。

 そういえばコロナ禍によってプロ野球も制限を受け、特例の規約を作った。それが2022年シーズンはどうなるのか? ペナントレースに大きくかかわってくることだけに注目していた。そして22年も登録人数、ベンチ入り数、外国人枠は昨年どおりということになった。ただ大きく違うのは9回打ち切りから延長12回制に戻る方針ということやね。これは大きい。戦い方が大きく違ってくるし、当然、優勝争いに波及することになる。

 オレは今年も9回打ち切りではと感じていた。それはコロナ禍が再び広がり、昨年同様の方法になるのか……と予測した。でも今年は12回制に戻してもいいという判断を下した(まだ感染状況によって変更もある、とのことだが)。昨シーズン、12球団で最も勝ちの数が多かったのが阪神である。でも優勝できなかった。引き分けの壁に敗れ、勝率のハードルに負けた。優勝したヤクルトとの数字上の差は歴然としていた。それは引き分け数の違いであった。

 勝率を上げるには負け数を減らすことです。負けを減らす=引き分けでもいい。ヤクルトはこれを生かし、阪神は生かせなかった。そこには力とは違った要素が加わっていたということなんだろう。しかし、今年は従来の延長12回制の復活となる。こうなれば9回打ち切りとは大きく違う戦い方になり、純粋に力勝負になる。となれば、オレは阪神にとっては有利に働く規約の変更と見ているのだが。

 9回打ち切りには、それなりの戦い方が求められた。要するに逆算して、出し惜しみのない戦いが求められるわけだが、阪神の場合、そこに多少の出し惜しみがあった印象が残っている。だが今年は延長12回をにらんだ戦いができる。特に投手力が強い阪神は落ち着いて戦えるに違いない。セオリーどおりにやっていけば、かなりの確率で勝ち、もしくは引き分けに持ち込める。

 当然ながら各チームは延長12回制によって、投手力アップを目論むわけよ。力勝負の22年シーズンになることは間違いない。(デイリースポーツ評論家)

PROFILE
岡田彰布/おかだ・あきのぶ●1957年11月25日生まれ。大阪府出身。北陽高では1年夏の甲子園に出場し、早大では東京六大学リーグ歴代1位の打率(.379)と打点(81)をマーク。80年ドラフト1位で阪神に入団。1年目からレギュラーとして新人王を獲得。21年ぶりのリーグ優勝、日本一を達成した85年は五番打者としてベストナイン、ゴールデングラブ賞。94年にオリックスへ移籍し、95年限りで現役引退。通算1639試合、打率.277、247本塁打、836打点。オリックスで2年間指導の後、98年に阪神復帰。二軍監督などを経て、04年から08年まで監督を務め、05年はリーグ優勝に導いた。10年から12年はオリックスの監督として指揮を執り、13年からは野球解説者として精力的に活動している。
岡田彰布のそらそうよ

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選手・監督してプロ野球で大きな輝きを放った岡田彰布の連載コラム。岡田節がプロ野球界に炸裂。

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